大海で挑む“究極のクレーンゲーム”

日本とアメリカを結ぶ海底ケーブルは、約1万2000km。ケーブル100kmごとに中継機を接続することで、太平洋を横断しているのです。

とてつもなく長いケーブルは一体、どのように敷かれるのか。

日本にたった5隻の専用船。海底ケーブルの保管場所です。ここでもまた、ねじれを防ぐため、人力で巻きなおします。

NTTワールドエンジニアリングマリン 桜井淳 船長
「(ケーブルを船に積み込むだけで)1か月半くらいかかりますね。例えば2000km、誰かがそこを歩いているわけですから、太平洋の真ん中まで誰かが歩いているのと同じことですから」

出港すると、船からケーブルを海の中に落としていきます。浅瀬の岩場では、人が海に潜って作業。前もって設置された保護パイプに、ケーブルを慎重に入れていきます。

この先、太平洋の彼方まで続いていくのです。

さらに大変なのは、ケーブルが深い海で切れたとき。一体、どのように直すのでしょうか。

NTTワールドエンジニアリングマリン 桜井淳 船長
「(Q.これを深海に沈める?)これを富士山の2倍くらいのところから海底におろして、ホースくらいのケーブルを引っ掛けて、これで巻き上げて」

例えば、太平洋の真ん中、水深8000mの場所でケーブルが切れた場合。

まず、GPSで海底ケーブルの位置を特定し、その真上から6時間かけて海底に錨を落とします。ロープの先に取り付けた錨で、海底ケーブルを引っ掛け、さらに半日かけて引き上げる。

まさに、“世界一難しいクレーンゲーム”です。

中でも最も大変なのは、せっかく引っ掛けたケーブルが途中で外れてしまった場合。

NTTワールドエンジニアリングマリン 桜井淳 船長
「(Q.失敗したらどうする?)やり直しです。24時間を無駄にしてしまう」

世界最先端の通信を支える作業は、思いのほかアナログなのです。

NTTワールドエンジニアリングマリン 桜井淳 船長
「人力で巻かなければいけないですし、DX、DXといいながら、“デラックス”とはなんだという世界です」

ケーブル破損の半分以上は漁業や船の錨など、人の活動がその理由。ただ意図的に切断しようとした場合、防ぐのは困難だといいます。