死体の上を這って逃げた子どもたち

死体が転がる戦場を南へ南へと逃げ続けた富子さんたち。10日ほどかけて、激戦地・糸満市の米須海岸にたどり着いた。

子どもたちだけで辿り着いた米須海岸での体験を語る比嘉富子さん

「(辿り着いたのは)夜でしたよ。真っ暗闇の中ね」

砲弾の音が近くで聞こえるなかで、疲れて眠りについた富子さん。ふと目を覚ますと、隣で眠っていた3つ上の兄・直裕さんが動かなくなっていた。

兄がいたずらをして、目を開けているのに返事をしないー 幼い富子さんはそう思ったが、姉は異変に気付いた。直裕さんを起こそうとすると、頭の後ろに血がべっとりとついていた。

戦場を逃げながら息絶えた富子さんの兄・直裕さん