現代の危機と「あいまいさ」の喪失
84年前に太平洋戦争が開戦し、今年は戦後80年の節目です。問題は、「もう、こんなことはあり得ない」と言い切れるかどうかです。私は言い切れない、と思います。
太平洋戦争は中国との戦争が端緒でしたが、今日、台湾有事を巡る高市早苗総理の国会答弁をきっかけに、その中国との関係は冷え込む一方です。
中国は、日本に対し歴史戦(=過去の歴史に関する戦い)を仕掛けています。国際社会に向け、「過去に日本の侵略を受けた被害者」として、また「戦争に勝った戦勝国」として、「日本の軍国主義復活」を、同じく被害者だったアジアの国々、同じく戦勝国だった米英、それにロシアなどの国々に対して宣伝して回っています。
高市総理が、自身の政治信条や「弱腰だ」と批判されるのを避けるため、発言を撤回しないことで、一部の世論は「中国はけしからん」と怒り、一部のメディアは「中国の脅しに屈するな」と総理を応援しています。
ここで思い出すべきは、日本の歴代総理が皆、台湾有事と「存立危機事態」の可能性についてあいまいにしてきた外交上の知恵です。外交では、敏感なテーマは白黒をつけず、「あいまい」にすることで落としどころを見いだすのが常套手段でした。しかし、高市総理はその「あいまいさ」を失わせ、中国は日本の「手の内」を知り、これに乗じて強硬姿勢をエスカレートさせています。














