顧問は情報共有せず…さらに学校側は「Aさんにも悪い部分がある」

 いじめ問題をめぐっては、2013年に「いじめ防止対策推進法」が成立。各学校でいじめを防ぐための基本方針を定めることが義務付けられている。

 Aさんの中学校のいじめ防止基本方針には、学校がいじめを発見した時にとるべき対応が細かく書かれている。この学校では、いじめを認知した時「複数の教職員で対応することを原則とし、情報共有を随時行う」と定めている。しかし、実際は顧問は誰とも共有しておらず、1人で解決しようとしていたとみられている。

 結局、学校が把握した後も事態は改善されず、Aさんは不登校に。PTSD(心的外傷症候群)と診断された。

 さらに不登校のAさんに向かって学校側は「Aさんにも悪い部分がある」と話したという。

 【Aさん側と学校側の話し合い時の音声より】
 (学校の教頭)
 「100:0じゃなくて50:50の着地点を探すしかないんですよ。(いじめを)止めてほしかったって思うのであれば、自分の中で良しとしない状況が周りの責任にあるというものの考え方、この部分がこれから超えないといけないところ、成長していくべきハードルになっていく、頑張っていかないといけないところだよ」

 学校の対応に納得がいかず、両親はAさんを転校させることを決意。Aさんは両親と離れ、今も親族の家で暮らしている。

 いじめ問題に詳しく、今回Aさんらから相談を受けている松田真紀弁護士は学校の対応の不備を指摘する。

 (うるわ総合法律事務所 松田真紀弁護士)
 「初動っていうのをまず大きく間違えていたところが大きいですね。(いじめが)起こった時点でまず多くの人数で情報共有しましょうとなっているのに、まずそこができていない。最後まで被害生徒に沿った対応ができていなかった。それによって被害生徒は余計に傷つく、というようなことが今回は起こりましたね」