万博海外パビリオンの建設費未払い問題。業者を救済する法案を野党が国会に提出しました。

 (海外パビリオン施工業者 Aさん)「どれだけ頑張っても、どれだけ頑張っても、もう無理なんです」

 経営難に苦しむ関西にある建設会社のAさん。その理由は「万博の未払い問題」です。Aさんは、大阪・関西万博で、ある海外パビリオンの建設工事に1次下請けとして参加。元請け業者からの“度重なる仕様変更”などに対応しながら、昼夜を問わず作業を続けました。予定された工期より遅れましたが、開幕には間に合いました。

 しかし、元請け業者は「工期の遅れなどによるペナルティが発生し支払える金額は残らない」などと主張。Aさんは元請け業者に対し、契約金の一部と追加工事費用計約1億2000万円の支払いを求め裁判で争っています。

 こうした工事費用の未払いを訴える建設業者は、海外パビリオン11か国で30社以上にのぼります。これに対し博覧会協会や大阪府などは、相談には応じるものの「民間同士のトラブル」だとして抜本的な解決策は打ち出していません。

 未払いトラブルに巻き込まれて以降、従業員の退職が相次ぎこれまでと同じ規模で工事を受注できないというAさん。今年6月には、会社の銀行口座の残高が3万4000円になりました。

 (海外パビリオン施工業者 Aさん)「会社としては本当にありえないところまで落ち込んでいた。この先乗り越えることができない状況ではあった」

 さらに、現在は消費税などの納付によってさらに経営が圧迫されていると話します。

 (海外パビリオン施工業者 Aさん)「払わないって言ってるわけじゃないんですよ。もちろん、売り上げになった分に関しては、きっちり税金を納めます。ただ、この今のタイミングで払えっていうのは、やっぱりあの…もう正直無理なんですね」

 こうした中、立憲民主党など野党4党は12月15日、未払いを訴える業者を救済できるようにする法案を衆議院に共同で提出しました。法案では、博覧会協会が未払いを訴える業者から債権を買い取り、費用を支払っていない業者に対して協会が支払いを求めることができるようにすることが盛り込まれています。

 (立憲民主党 大西健介衆院議員)「政府として関わってきた責任というのがあるんだから、他の未払いの話とは全く違う問題なので、何とか採決できるような状況を委員会の中で作っていきたい」

 今回の法案提出についてAさんは、「やっと主張を聞いてもらえた」と安心する一方で、より即効性のある策を講じてほしいと訴えます。

 (海外パビリオン施工業者 Aさん)「どんな形でもいいから、とにかく手元にキャッシュがないと、やっぱり次の事業を進めていくことができないので、何かしらの形で利息もちゃんと払うんで、融資をしていただきたい。企業を殺すんじゃなくて、生かしていくために、もうちょっといろんな案を出していただいて、何か手助け・力を貸してほしい。今度は私たちに力を貸してほしい」