財務省長崎財務事務所は12月11日、法人企業景気予測調査(長崎県の概要)の結果を発表しました。
2025年10月~12月期の全産業の景況判断指数(BSI)はプラス1.9ポイントとなり、2023年10月~12月期以来、8期ぶりに「上昇」が「下降」を上回りました。
「ポケモンGO」や「マラソン大会」が牽引
非製造業の好調今回の景気回復を牽引したのは「非製造業」です。指数はプラス6.5ポイントとなり、全体を押し上げる形となりました。

長崎財務事務所は、この要因として11月に開催された人気ゲーム「ポケモンGO」のイベントや「長崎ベイサイドマラソン」などの大型イベントの効果を挙げています。

県外からの来訪者が大幅に増加したことで、バスなどの運輸業や宿泊業の稼働が好調に推移し、ホテルが満室になるなど大きな経済効果をもたらしました。
製造業は依然厳しく…「鶏卵の高騰」や「半導体在庫」が重しに
一方で、「製造業」の指数はマイナス10.0ポイントと依然として厳しい状況が続いています。長崎財務事務所の聞き取りでは、マイナス要因として「猛暑や鳥インフルエンザの影響で原料となる鶏卵価格が高騰した」と答えたカステラの製造・販売会社や「物価高による買い控えが発生している」とする酒造会社もあったということです。
また、半導体・非鉄金属関連では「1年ほど続いている顧客の在庫調整が解消されていない」とする企業があった一方で、造船業については手持ち工事量が豊富であり、引き続き好調を維持しているということです。
先行きは「半導体回復」に期待も「中華圏の観光客」に懸念
2026年1月から3月期の見通しについては、全産業でプラス2.8ポイントと、プラス圏を維持する予測です。内訳を見ると、製造業は半導体関連の回復が見込まれることから、プラス20.0ポイントと大幅な改善を予測しています。
対照的に非製造業は、観光のオフシーズンに入ることや大型イベントの反動減により、マイナス3.9ポイントへ落ち込む見通しです。
また、懸念材料として中国との関係冷え込みによるクルーズ船のキャンセルが一部で発生していることが挙げられました。現状では大きな影響は見られないものの、春節(旧正月)シーズンのインバウンド需要への影響が注視されています。
「増収減益」と深刻な人手不足
2025年度通期の業績見通しは、売上高が前年比4.2%増の「増収」を見込む一方、経常利益は13.3%減の「減益」となる見通しです。売上は造船の好調や価格転嫁により伸びていますが、原材料高や設備投資の償却負担が利益を押し下げています。
また、従業員数判断指数は「不足気味」が43.0ポイントと高く、好調な企業ほど人手が足りない状況が続いています。特に造船業などでは熟練工の育成が難しく、中途採用を取り合っている状況にあるなど、労働力確保が喫緊の課題となっています。
【調査概要】
調査対象:長崎県内に所在する資本金1千万円以上の法人
調査時点:2025年11月15日
回答状況:対象108社のうち107社が回答(回収率99.1%)














