旧統一教会の名称変更に関する文書を文化庁が非開示にした判断に対し、大学教授が取り消しを求めていた裁判。一審判決を不服として、教授と国側双方が控訴しました。

 訴状によりますと、旧統一教会が2015年に名称を「世界平和統一家庭連合」に変更したことをめぐり、神戸学院大学の上脇博之教授は2022年から2度、文化庁に教会側の申請文書や決裁文書などの開示を求めましたが「法人の正当な利益を害する」などとして大部分が不開示とされました。

 上脇教授は文書の開示を求め、国側は「公にすることを予定していないため、開示すると宗教法人の権利や地位を害するおそれがある」などと主張していました。

 11月28日の判決で大阪地裁(横田典子裁判長)は、対象となる文書を個別判断せず一括判断して不開示としたとして、「情報を細分化すれば、不開示情報に該当するか否か、評価が異なる可能性がある」として、不開示決定の主要な部分を違法として、取り消しを命じました。

 取り消しを命じられたのは、旧統一教会への名称変更の判断に関わる文科省内での協議や検討、結論をまとめた文書などです。

 ただし、宗教団体の名称変更の動機などは、「宗教法人の意思形成の過程に対する干渉となる」などとして、国の不開示は妥当としました。

上脇教授は判決の際、次のように話していました。

 「元々、名称変更を国が認めてこなかった。それが急に認めるようになった。旧統一教会と自民党の議員との関係が影響したのではないかと疑われるので私が情報公開請求して真相を明らかにしようとしたが、残念ながら肝心のところがわからず、これでは許されないと提訴に踏み切った」

 「重要な部分で不開示の取り消しを認めてくれた画期的な判決を評価したい。開かない扉をこじ開けた感じ」

 文化庁は判決のあと、「国の主張が認められなかったものと認識しております。判決の内容を精査した上で関係省庁とも協議し、適切に対応してまいります」とコメントしていました。

 双方とも一審判決を不服として、上脇教授は12月9日付で、国側は12月11日付で控訴したということです。