新設・建て替えラッシュのアリーナとスタジアム 明暗分けるのは

こちらは今年7月、名古屋城の近くにオープンした愛知県の新しい体育館、「IGアリーナ」です。

最新の通信環境を備え、これまでにない演出のスポーツ観戦やコンサートが体験できるといいます。いま全国でアリーナは新設、建て替えラッシュ。

今年1月時点のまとめで45のアリーナと34のスタジアムが計画されています。背景には何があるのでしょうか。スポーツ経済学の専門家は。

(中京大学スポーツ科学部 スポーツマネジメント学科 舟橋弘晃准教授)
「一番大きいのは、来年度からスタートする新しいBリーグですね、Bプレミア、ここでアリーナ基準が示されたことで一定の水準を満たす施設整備が求められるようになった。もう少しマクロな話をすると、政府がここ数年『スタジアム・アリーナ改革』を進めてきたんですね。

施設を地域の交流拠点にしましょう、そういう活用をする動きの後押しがあったということもあります。あとはいくつかの成功事例のアリーナが出てきたことで、ほかの地域においてもよし、自分たちも作ろうという横並び意識が働いている、そういう面もあるんじゃないかと思っています」

(岡山市が計画するアリーナのPR動画音声)
「歴史と文化は紡がれている」
「そして、新たな歴史が始まる」

岡山市が計画するアリーナのPR動画です。スポーツのトップチームが上位リーグに所属するための基準を満たす施設が必要で、さらにコンサートの誘致や人々の交流などのメリットを強調します。

概算事業費は約280億円。国の補助金や寄附金などの活用を想定していますが、

費用負担をめぐって県との議論は平行線をたどり、市は先月、単独で事業を進める決断をしました。その必要性について、市民に丁寧な説明が求められています。

(中京大学スポーツ科学部 スポーツマネジメント学科 舟橋弘晃准教授)
「何を解決するためにアリーナが必要なのかという“大義”、これを明確にすることが重要です。できれば都合のいい情報や希望的観測じゃなくて、

科学的な根拠、先行事例などに基づいて、ていねいに市民県民に伝えていくことが必要じゃないかと思っています」

スタートダッシュを決めて他県に刺激を与えている、香川のアリーナです。これからが問われています。
(中京大学スポーツ科学部 スポーツマネジメント学科 舟橋弘晃准教授)
「2年目、3年目も同じような状態でイベントが誘致できたり、あるいは事業性を確保できるのであれば、これはいい投資だったんじゃないかということを言うことはできますが、しっかりとそれは評価して初めて言えますので、この公共投資に対する評価もあわせて、県として実施されていくといいんじゃないかと考えています」

「アリーナの“点”の開発で終わらせてしまうのか、アリーナを核とした“面”の開発をしていくのかによって、

街の見え方とか、あるいはそこで経済活動をする人々の状態はまるで変わりますので、せっかくこういった国際的に評価されたという施設があるということなので、そこを中心として街づくりをどう考えていくのかということを考えていく重要性は高いと思います」















