今回の減税はおこめ券に近い?

トラウデン直美さん:
そうなると、中古の価値が落ちにくくなるというのはすごく良さそうに見えますが、実際どうなのでしょうか。

片山薫さん:
投資目的でも中古じゃないと買えないというのもありますけど、取引が増えているので価値は高まっていると思います。

ただその分価格も上がっています。新築で今、例えば首都圏だと1億円が当たり前になってしまっていますが、本来であれば家の価格は年収の7倍ぐらいまでに収まってほしいところです。

実際、築10年の中古マンションで大体70平米の換算平均価格と平均年収で割ってみると、中古マンションでも首都圏全体で年収の約11.6倍、東京都だと約16.9倍となっています。

もう住宅がなかなか買えない時代になってきてしまっているということです。どんどん新築に近づいています。

住宅業界としては、何とかこれでも売れるような状態にしてほしいということで、自民党に要請をして、その業界の要望に応えて今回減税がされたというのが、裏側です。

藤森キャスター:
減税は購入しようとしている人にとってはありがたいことですが、中古物件に殺到すると、今度はまたその価格が上がっていくことになりますか。

片山薫さん:
場合によっては、お得感が出た分だけ高くても減税されるのであれば購入してもいいということで、実はちょっとおこめ券に近いのではないかと思っています。高くなったらそれを税で補助するというような意味で、やや似ているのかなという気はします。ただ、これがいいのかどうかというのは少し考えどころだなとも思いますね。

小川キャスター:
長い目で見たときにかえって住みづらい状況に拍車がかかりかねないということを考えると、抜本的な物価高対策だったり賃上げだったりなど、同時進行で行っていかなければならないことがたくさんありますよね。

トラウデン直美さん:
本当にその通りだと思いますね。

やはりどうしても今、本当に都心部の住宅価格が高すぎて、都心部に住めない人が増えてきてしまいます。全国一律ではなくて、都心部は除外などそういったフレキシブルなやり方が、もう少し模索できそうな気もします。

片山薫さん:
実際、一極集中していることでやっぱり高騰しているというがあるので、本当はその是正も国としてやるべきことかなと思います。

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<プロフィール>

片山薫
23ジャーナリスト 経済部筆頭デスク
財務省や経産省・農水省などを担当

トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行