光があれば影もある

一方で、この構想には負の側面も生じました。公共投資の急膨張は、地価の高騰を引き起こし、土地投機が全国で広がりました。特に都市部では、地価上昇が生活への負担となりました。

また公共事業をめぐって政治家と建設業界との関係が深まり、政治資金問題が相次いだことも批判の対象となりました。

現在まで続く田中角栄の影響力

それでも現代の視点から見ますと、日本列島改造論がもたらしたインフラ整備の果実は確かに残っています。現在の高速道路網や新幹線網、地方都市の基盤整備の多くは、この時代の政策を源流としており、日本の物流や生活圏の形成に大きく寄与しています。

ただし、角栄の構想の前提となったのは、人口が増え、経済が成長し、必ず今日より良い明日がくる、という「昭和の日本」でした。

今やそのほとんどが逆回転し始めた日本です。

今という時代は「列島改造論」の「さらなる改造版」が必要になった時代なのかも知れません。