「記憶の継承」は時間との戦いに…

この日「語り継ぐ会」で講演を行ったのは、県被爆者協議会の小島貴雄会長です。小島さんはおととし100歳で亡くなった父の体験を伝えています。

小島さんの父は、兵士として原爆直後の広島で救援活動を行っていた時に、被爆した人たちに水を求められ自分の水筒の水を分け与えました。

県被爆者協議会 小島貴雄会長
「コップに注いだら自分のコップにの口にただれた唇の赤い血がついてしまうかもしれない。それが嫌で倒れている人に口を開けろと言って、上から水を垂らした。死を間際にした人になんとむごい扱いをしてしまったんだろうと後悔をし続けておりました」

小島さんは、数年かけて父から記憶や思いを聞き取り、体験を語り継いでいます。

県被爆者協議会 小島貴雄会長
「非常に濃厚な3、4年でありました。一生懸命父は伝えろということを言ってくれたわけだから、できるだけ私は伝えようとしている」

体験者の生の声を聞くことができる機会はどんどん少なくなっていて、記憶の継承は「時間との戦い」となっています。

西田亜希代さん
「父が身をもって戦後80年の厳しさを示してくれたんじゃないかなと。今度は他の方々の体験談、語りを引き継がせていただけるように、一人では難しいので仲間たちと一緒にことし80年を機にスタートしていきたいと思っています」

「語り継ぐ会」では、体験者の聞き取りを急ぐ一方、中学生以上を対象に語り部を募集し、研修を行いながら新たな担い手を育てていきたいとしています。