異例!実戦での“リハビリ登板”で復帰した2025「投手・大谷」

急転直下の投手復帰だった。6月15日の試合後にドジャースの公式SNSが、16日の大谷先発を発表。当初は7月15日の球宴後に復帰する方向だったが、負傷離脱が続く投手陣の苦しい台所事情に加え、大谷本人の強い意向も加わり、直前に復帰登板が電撃的に決まった。

「1週間に1回投げつつ、イニングを伸ばしていけたらブルペンの負担が少し減る。チーム状況も加味して。僕にとってもそっちの方がスムーズにいけるという判断だった。ライブBP(実戦形式の打撃練習)で4、5回を投げられるようになってから試合に入るパターンと、今日みたいに短いイニングを試合のレベルで投げるという2通りのパターンがあり、後者を取った感じでしたね」

打者出場も続ける二刀流にとって規則上、負傷者リスト(IL)入りが必要なマイナー戦でのリハビリ登板は困難。ここまで3度のライブBP登板も試合開始4~5時間前の実施で、ロバーツ監督は「本人にとってはダブルヘッダーくらいの感覚だったようだ」と、大谷の負担をより軽減することも突然の復帰の一因とした。

大谷は23年9月に2度目の右肘手術を受け、公式戦登板は23年8月23日以来、663日ぶりとなったこの6月16日のパドレス戦で1回を28球で2安打1失点だった。

直球は最速100・2マイル(約161・2キロ)と以前と変わらぬ力強さを披露。降板後はDHとしてプレーを続け、2本の適時打で自身の黒星を消し、逆転での3連勝に貢献した。これこそ二刀流の本領発揮だった。

大谷はキャンプイン時点で投手復帰の時期について「どのタイミングで投手復帰するかは(ポストシーズンの)10月までの計画をベースに考えたい」と語った通り、ポストシーズンでは投手として制限なく登板することができた。

ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦で7回途中まで無失点と好投した大谷

ポストシーズンでは4試合、20回1/3で2勝1敗、防御率4・43。投手として初めて挑んだワールドシリーズでは第4戦で93球、6回0/3を投げ、中3日で第7戦の先発を務めるまでに状態が戻った。何より急転直下の投手復帰から当初の計画通りに戻したのはさすがだった。