「古いひずみ」が生み出した短期再来の謎
研究チームは、これらの観測結果から重要な結論を導き出しました。2025年の地震は、1952年の地震で解放しきれずに残っていた「古いひずみ」と、その後73年間に新たに蓄積したひずみを、まとめて解放したというのです。
この発見は、巨大地震が毎回同じ量のひずみを解消するとは限らないことを示しています。ひずみの残り方やオーバーシュートなどの破壊物理の違いにより、巨大地震の周期は大きく変動し、再来間隔が規則的でなくなることが明らかになったのです。
南海トラフ地震予測への重大な示唆
この研究成果は、単にカムチャツカ地震の謎を解明したにとどまりません。南海トラフを含む世界の沈み込み帯で実施されている長期地震予測モデルに大きな影響を与えます。過去の地震履歴から将来の発生時期を予測する従来の時間予測モデルが、現実の巨大地震には必ずしも適合しないことが示されたからです。
私たちは、災害に備える上で、どのように不確実性と向き合っていくべきなのでしょうか。東日本大震災の教訓と合わせて考えることで、より現実的な防災対策が見えてくるかもしれません。














