住吉 光アナウンサー(以下、住)長崎の#暮らし#経済ウイークリーオピニオン。
今週も平家 達史 NBC論説委員とお伝えします。

平家 達史 NBC論説委員(以下、平)よろしくお願いします。
今日のテーマはこちらです。
”県民割” 地域拡大 観光業界の動きは
今月から県の観光キャンペーンの九州各県との相互利用が始まりましたので、コロナの感染状況も気になるところですが、このテーマでいきたいと思います。
(住)県の観光キャンペーン"ふるさとで心呼吸の旅"とは、県民限定で県内の宿泊施設の代金を1人最大5000円 割引くという旅行需要の喚起策です。

今月4日からは佐賀・熊本・大分・宮崎・鹿児島県との相互利用が始まっていて、11日からは福岡県も対象に加わっています。
利用期間は4月28日(木)宿泊分までです。
なお利用には『新型コロナワクチンの3回接種、またはPCR検査での陰性証明が必要』となっています。
(平)年明け以降、オミクロン株の感染拡大による「まん延防止等重点措置」もあり、飲食・宿泊業者は非常に大きな打撃を受けていますから、キャンペーン拡大に期待する声が聞かれます。

こちらは九州経済調査協会が調べた『宿泊稼働指数』なんですが、長崎県は、去年12月が68.8、1月が45.2、2月が37.4、3月が58.0となっています。
1月26日から3月6日までは、まん延防止措置が長崎県にも適用されていましたので、特に2月の落ち込みが顕著となっています。
(住)直近の3月は、まん延防止措置の解除で、やや上向いていますが、まだ十分な回復には至っていませんね。
(平)今月に入って観光地の状況はどうなっているのか、また観光キャンペーン拡大を、まちの皆さんはどう感じているのか聞いてきました。

■観光客インタビュー
12日午後の長崎市南山手町です。
修学旅行生を中心に個人や小グループの観光客の姿も多く見られ、観光地としての賑わいを徐々に取り戻しつつあるように見えます。

◎男女「東京から。ゴールデンウィーク前だから、多分ちょっと金額お安いかなと思って。そしたらこんなに賑わってると思わなかった」

◎女性2人組「長崎と、ほかも九州ちょっと車で回ってて。前よりは来やすくなったのかなと思って、このタイミングで」

◎男女(山口県から)「ずっとコロナやったんで、もういい加減いいかなって感じです」
九州内から訪れた観光客もいました。
◎女性4人組(大分から)「自分たちが予約した当初が、まだそれ(県民割拡大)がなかったので、まだ対象ではなかったんですけど、長崎に来ました。惜しかったです」
観光キャンペーン拡大について、地元の市民の受け止めは?

◎女性「来ていただく分には対策をしっかりしていただいていれば、全然問題ないかなと思います」
◎男性「全然、大丈夫だと思います」
◎男女「だんだん抵抗なくなってます」
◎男性「そろそろ経済も回らないとなと自分は思ってるので、観光客が来てくれるのは嬉しいことだと思います」
(住)関東などから来られている方が多かったのが印象的でした。コロナ対策と経済の両立を意識している方も見受けられましたね。
(平)地元の皆さんからは、万全な感染対策が前提ではありますが、キャンペーン拡大を歓迎する声が聞かれていました。
福岡県は11日から予約受付が始まったばかりなので、十分な数字として現れてはいませんが、長崎を訪れる人は今後さらに増えると期待されます。
一方、こうした観光需要の回復を見すえて、県内では宿泊が落ち込んだこの3か月間に着々と準備を進めてきた事業者も少なくないんです。
長崎県が観光地としての魅力アップの一環として、昨年度「観光地受入態勢ステップアップ事業」を実施しました。
長崎市の宿泊施設の取り組みを取材してきました。
伊王島にある「アイランドナガサキ」です。
大塚 秀樹 副総支配人は観光キャンペーン拡大の効果をすでに実感しています。

アイランドナガサキ 大塚 秀樹 副総支配人「11日に福岡もキャンペーンに入るということで、実際、当日に関しては問い合わせの電話もたくさんいただきまして、さらには先の予約もいただいたという状況でございます」
アイランドナガサキがコロナ禍で取り組んだ事業の一つが、地元漁協との連携です。
伊王島の新たな特産品を作ろうと、地元で水揚げされた赤カマスを使った干物を共同で開発しました。
また、伊王島の魅力である"美しい海"をいかした動きも…。

海水浴のオフシーズンを使った新たな体験型コンテンツとして "ビーチでの地引網" を漁協と協力して準備しています。
アイランドナガサキ 大塚 秀樹 副総支配人「おもてなしを今後強化していきたい。そういった中で、新たに建物を建てるよりもソフト面での取り組みによって、より良い施設にしていかないといけないかなと」
このほか、バリアフリーの一環で、車いすユーザーが安全に魚釣りを楽しめる環境づくりにも取り組んでいます。

アイランドナガサキではこれらの事業を通して、誰もが楽しめる施設を目指すことで、顧客の満足度アップだけでなく地域活性化にもつなげたい考えです。
アイランドナガサキ 大塚 秀樹 副総支配人「ステップアップ事業で培った、例えばバリアフリーにおけるスタッフのおもてなしのやり方だったり、漁協とのタイアップ地引網の体験だったり、そういったところも合わせてお客様にPRしながら、伊王島それから長崎の良さを伝えていければなと思っております」
(住)コロナ禍の中でも、どうやれば観光客の皆さんに楽しんでいただけるかということを一生懸命に考えていたということですね。

(平)今、ご紹介した伊王島以外にも『ステップアップ事業』としての取り組み事例は多いんですけれども、共通するキーワードを見ると『地産地消グルメ』『体験型』『おもてなし強化』『リピーター獲得』という風に言えると思います。
観光業界にとって厳しい状況が続く中、"新たな魅力づくり"に取り組むことは、この先のゴールデンウイークや夏休みといった繁忙期に訪れた"観光客の満足度アップ"にもつながりますし、9月の西九州新幹線開業に向けても弾みになるはずです。
さらに10月からはJRグループの大型観光キャンペーンも予定されていますので、今年は長崎観光にとって非常に大切な年といえます。
(住)一方で、今後の新型コロナの感染状況も気になりますね。
(平)引き続き新型コロナの感染状況をにらみながらにはなりますが、感染対策をしっかり施しつつ受け入れ態勢を整えていくことが、今年の長崎観光を左右することにもなるかもしれません。
(住)ウイークリーオピニオン。ここまで平家 達史 NBC論説委員とお伝えしました。