「あの子にも居場所があれば」山口さんは動き始めた

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山口さんは、事件のあとカウンセリングを受ける中で、精神科の医師から「あの子(少年)にも居場所があれば良かったね」という言葉をきっかけに、2001年から佐賀市内で不登校や引きこもりの子供の「居場所」づくりのほか、保護者を支援する活動を続けています。

活動のなかで、山口さんが大切にしていることは、子供たちを「ダメ」と否定せず、ただありのままを受け入れることです。

(山口由美子さん)
「引きこもりや不登校の子供っていうのは、親がどういう気持ちで自分と向き合っているのかを敏感に感じながら関係を作っているのです、アンテナを敏感にしているんです」

活動の中で、一人の親が山口さんに「自分の子供が一日中寝巻で過ごしていて心配だ」と相談したということです。

山口さんは相談に対して、「自分が事件の後、けがをしているため家に帰って着替えるなんて考えられなかったんです。普通にできていることが『本当に心と体も辛いときってできないんですよ』」と答えたそうです。

数日した後、悩んでいた親は「それまで自分の辛さで子供を責めていた、でも子供が辛かったんだ」と子供の側に気持ちが動いたそうです。

(山口由美子さん)
「親子関係、家庭にしかいない、特に引きこもりのお子さん、不登校もそうですが『その状態で大丈夫だよ、命があるだけで』、、、そう伝えるだけで、子どもは自ら立ち上がっていくのです」