農林水産省が発表したコメの平均販売価格が、再び過去最高値を更新しました。

一方、国内最大手の卸売業者は、コメの価格が今後「暴落する可能性がある」と指摘しています。なぜなのでしょうか?

■コメの在庫「過去にないほど最大」に?

井上貴博キャスター:
今後、コメ価格はどうなっていくのでしょうか。

コメ卸売最大手である「神明ホールディングス」の藤尾益雄社長によると、6月末の民間在庫は「多分過去にないくらい最大になると思う」と予想されていて、コメ価格は「かなり暴落する可能性がある」ということです。

米柄安定供給確保支援機構が全国の生産者や集荷業者を対象にしたアンケートによると、向こう3か月のコメの価格見通しは、2025年11月では“下がる予想”になっています。

■売れない背景 高値で手が出ない+多様な選択肢か

井上貴博キャスター:
岐阜市のコメ卸売「ギフライス」ではコメが余っていて、2024年の同じ時期に比べて2〜3割増えており、在庫が4000トンだということです。

小売業者団体やコメ卸売によると、▼コメが高値のため消費者が手が出しにくい。そして、▼外国産、備蓄米、6年産、7年産年など選択肢が多様化していることが理由としてあげられ、卸業者は「在庫のコメを安くして売り切る必要がある」といいます。

米専門店「スズノブ」代表取締役 西島豊造さん:
現場としては、やはりコメが売れていないというのが本音です。自分の売り場だけでなく、他を見ていても在庫が余っているのが体感的に分かります。

そのため“暴落”という言葉を使ってもいい程、今後コメ価格は下がっていく可能性はあります。

■5㎏3500円は暴落?コメ価格はいくらに

井上貴博キャスター:
現在、スーパー販売平均価格は、11月24日~30日で過去最高値の4335円となりました。
※(株)KSP-SPが提供するPOSデータに基づき農水省にて作成

コメ卸売「ギフライス」の恩田喜弘社長は「来年の6月・7月ごろ、店頭価格5kg3500円に近づく商品もあるのでは」と予想。

日本米穀商連合会の相川英一専務は「暴落というほどではない。来年の6月ごろ5kg4000円前後になる可能性がある」とみています。

「5kg3500円」は暴落とみていいのでしょうか。

米専門店「スズノブ」代表取締役 西島豊造さん:
今の取引価格をみると、5㎏3500円となれば「暴落」に近いです。

5㎏4000円という見立てもありますが、もっと価格は下がるのではないかと思います。5㎏3500円程度か、最悪の場合は3200~3300円が想定できるかなという感覚です。

井上貴博キャスター:
消費者の中には「5㎏3500円」を適正価格だと思う人もいるかと思います。

米専門店「スズノブ」代表取締役 西島豊造さん:
今までの価格が安すぎました。産地や消費者を守りながらバランスを取ると、3000円台が理想です。その中で、商費をある程度まで伸ばしていきたいとなると、3500円程度に設定してもらいたいのが本音です。4000円では動かないです。

■「1万俵余れば1億円のマイナス」卸売にも影響

井上貴博キャスター:
コメ卸売「ギフライス」の恩田社長は、「7年産を残せば損失になる。1万俵余れば1億円のマイナス」としていて、大きなしわ寄せがきているようです。

さらに、「全国の卸売は7月末に今あるコメを売り切れるか」が課題だといいます。

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<プロフィール>
西島豊造さん
都内の米専門店「スズノブ」代表取締役
五ツ星お米マイスターとしても活躍