台湾有事で想定される3つの「事態」 認定する“政治の責任”とは

今回の高市総理の答弁で、「台湾有事」に関連し指摘された「存立危機事態」。それよりも手前のレベルが「重要影響事態」です。

河野 元統合幕僚長
「(重要影響事態は)日本の安全保障に重要な影響を与えるというレベル。放っておいたら日本に重要な影響が及ぶと判断した時に、米軍に対して後方支援ができる」

日本の平和及び安全に重要な影響を与えるとされるこの「重要影響事態」。自衛隊は、“武力行使”はできず、あくまでアメリカ軍などの“後方支援”に活動が限定されるのです。

こうした幅広い概念である「重要影響事態」に対して、武力行使ができる「存立危機事態」は、より一層、危機レベルが上がった事態ですが、その幅はあるように見えて全くないこともありうると、河野さんはいいます。

河野 元統合幕僚長
「(幅は)狭い、もうほとんど自分(日本)がやられる寸前ということ。台湾で有事が起きました、順番通り重要影響事態でステップアップして存立危機(事態)、ステップアップして武力攻撃(事態)と、順番どおりエスカレーションさせてくれることはない。その事態の認定によって、自衛隊のオペレーション、あるいは使える武力が違ってくるので、逆に言えばそれ(事態認定)を決めていただかないと(自衛隊は)行動のしようがない」

では、自衛隊が武力行使するかどうかの事態を、誰が・どう判断するのか。そのときこそ、政治が軍事に優先する、いわゆる「シビリアン・コントロール(文民統制)」が重要だといいます。

河野 元統合幕僚長
「自衛隊はシビリアンコントロール、政治のもとで動く。政府というのは選挙の結果、民意が反映された政府ができているはず。ただ、世論が常に正しいというわけではありません。世論が大きくなればそっち(武力行使)に行こうなんていうことは、国を誤るもとになる。エスカレーションさせる前に、外交も含めて日本として努力する。そこは政治が責任を持って国民に説明をするということ。政治の責任は重大」

日中の対立が続く中、改めて政治の責任の重さが問われています。