現代と未来、そして市郎の“意識の揺らぎ”で描く新たな構成
――1月4日(水)にスペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある!~真面目な話、しちゃダメですか?~』(TBS系)が放送される。脚本制作にあたって、連続ドラマからアップデートしたことや、一貫して大切にしたことを教えてください。
アップデートしたこと、何と言ってもインティマシー・コーディネーター(演者の尊厳や心身の安全を守る職種)が入ったことですね。遅いくらいですけど。根本的なテーマは連ドラの時から変わっていません。小川市郎さんが現代にやって来て「頑張れって言っちゃダメなのか」と言うと、どうしても“昭和は良かった”という主張に受け取られがちですが、僕が言いたいのは断じてそういうことではなくて、“どの時代も、今を良くしようと頑張っている人たちがいる”ということです。誤解されないよう、そこはより強く意識しました。
市郎さんの意識が少しずつ変わっていくように連ドラを作っていったのですが、今回は久しぶりに現代に来た設定なので、スタートは、ちょっと意識が戻っている感じになっています。連ドラでは1986年と現代を描きましたが、今回は現代と10年後の未来の話。今がむしろ“ちょっと過去”のように見える構成になっているのも、違いの一つです。
――本作を担当する磯山晶プロデューサーと話し合った中で取り入れたアイデアやエピソードはありますか?
政治の話をすることが“タブー”みたいになっている風潮に違和感ありますよね、というところからスタートしました。芸能人が政治的発言をすると炎上する。報道番組や選挙番組でも、全てを平等に扱おうとして、結果的に何も伝わってこないようなことが多い。きっと報道局に異動となった市郎さんの孫、渚(仲里依紗)もそこに違和感を覚えるだろうし、多分多くの人もそう思っているんじゃないかなと感じたんです。
日本人は、飲み会などくだけた場でも支持政党の話などはあまりしないですよね。海外では、仲の良い友人同士、恋人同士ですら、違う政党を支持していても普通に付き合えるみたいです。そういう“話しづらさ”をテーマにしようと、わりと早い段階でサブタイトルは「真面目な話、しちゃダメですか?」が決まりました。本当は「政治の話、しちゃダメなんですか?」でも良かったんですけど、もう少し広い意味を持たせようとなりました。
江口のりこさん演じる平じゅん子という野党の政治家が、総理大臣になるかどうかという瀬戸際である事件が起こる。渚がその出来事に一番関わります。連ドラのときからの命題である市郎さんの娘、“純子(河合優実)の未来を変えていいのか”というテーマにもつながっていきました。そこは連続ドラマとつじつまを合わせるのが難しかったです。














