千葉県警に劇団四季の団員出身の異色の警察官がいます。警察官に転職したワケは、「エンターテインメントを止めないため」でした。

ステージ上で、キレのあるダンスとともに響きのある歌声を披露するのは、千葉県警の喜多原拓人巡査長(39)です。

千葉県警察音楽隊 喜多原拓人巡査長
「今、歌っているのが私なんですけれども、足を引っ張らないようにすごく必死にやってました」

実は喜多原巡査長は、もともと劇団四季の団員などとして、およそ10年間、舞台に立っていました。そんな喜多原巡査長が警察官を志したのは2011年、テーマパークのショーに出演予定だったなか起きた東日本大震災がきっかけでした。

千葉県警察音楽隊 喜多原拓人巡査長
「テーマーパーク自体が休園した時期があったんです。私の中では、すごくそれが衝撃というか」

“エンターテインメントが止まった”そう強く感じたといいます。

千葉県警察音楽隊 喜多原拓人巡査長
「いざ被災をしたり、なにか事件事故に遭遇するようなことを想像した時に自分自身がそういうエンターテイメントを楽しめる状況ではなくなるかもしれないなと。であれば、根本そういったところをなるべくなくせるようにしたいなって」

“エンターテインメントを楽しめる環境を守る”ため、現在は千葉県警の音楽隊で事件や事故防止のイベントなどで活動していますが、ここには“舞台出身”の経験が活きているといいます。

千葉県警察音楽隊 喜多原拓人巡査長
「(小学校の)低学年であったら喋り方的にはちょっと声が段々高くなってきて、『皆さん、こんにちは』みたいな感じで使い分けています。『実際におじいちゃんとかおばあちゃんに言ってみようと思います』とか、(小学校に)そういう意見をもらった時は、ちゃんと伝わってるんだなって」

「安全・安心なくらしを守りたい」。その思いを抱き、ステージに立ち続けます。