『フェイクマミー』で描かれる人間らしい成長

ドラマ『フェイクマミー』より

『フェイクマミー』で筒井さんが演じる花村聖子の東大卒の一人娘・薫(波瑠)とベンチャー企業の社長・日高茉海恵(川栄李奈)が“子ども(茉海恵の一人娘・いろは/池村碧彩)を思って禁断のニセママ契約を交わす”という決断について尋ねると、筒井さんは少し考え込んでから口を開いた。

「彼女たちの思いとしては理解できる事もあります。でも、いろはちゃんがうそをつかなくてはいけないというのは切ないですよね。教育上、うそがいつしか本当になってしまわないといいなと思うんです」。そう話す声はやさしい。

「夢を叶えるために、ちょっと背伸びしたりハッタリを言ったりすることもある。それが成長につながることもある。禁断の契約や、うそがもたらす信頼関係も、一つの“成長のかたち”なんだと思います。私が演じる聖子は、そういうコミュニティを娘に与えてあげられなかった。見守りたかったけれど、見守れなかった――そんな気持ちで物語の行方を見守っています」。

最後は静かにほほ笑みながら、「親子というのは、形を変えてでも支え合うもの。そんな思いが、作品から伝わればうれしいです」と結んだ。

ドラマ『フェイクマミー』より

母親という枠を超え、1人の女性としてのキャラクターを描き続ける筒井さん。難しい役柄にも真摯に向き合い、登場人物の内面や背景を丁寧に掘り下げる。その積み重ねが、作品の説得力と温かみを支えている。