米大学に留学の生徒へ「日の丸がついてると思って」

8月に引退した3年生からは、こんな質問がとんだ。

選手:自分、アメリカの大学に進学することが決まったんですけど・・・

イチロー:えーーーそうなの!

選手:アリゾナ州のすごく強豪のカンファレンスと聞いていて、そこでプレーできる楽しみもあるんですけど、言語とか環境のストレスとか不安も抱えているのでアドバイスがあれば…。

アメリカ留学する3年生にアドバイス

イチロー:いやーそれはなかなかできない経験だから。それは苦労すると思うけど、絶対にいい経験になる。めちゃ苦労すると思うよ。絶対にいい経験になる。野球だけじゃなくて、価値観が変わるというか、ものの見方が変わるというか、もっと日本が好きになったり、アメリカっていいイメージだけど、こんな所もあるのかとか見え方が絶対に変わってくるから視野がすごく広がる。絶対に行った方がいい。

選手:シアトルの大学も見に行って、学校のコーディネーターさんが「日本人はイチローさんのおかげで野球も上手いし、人間性も素晴らしい」と言ってくれて。シアトルの大学は日本人の受け入れをすごくしているという話をしてくれました。

イチロー:それは嬉しい話だね。アメリカに行ったら、自分は日本代表というか、自分の行動がイコール日本人だって思われるということはしっかりと持っておいて欲しい。もう、ここ(胸)に日の丸がついているって思って行動してほしい。例えば今、僕がアメリカで野球がある都市に行ったら、僕がする行動は日本人というよりも「イチローってこうなんだ」ってなる。評価としては。でもさ、アメリカ人が知らない日本人の行動はイコール日本なの。

選手:そうですね。

イチロー:そうでしょう。だからそういう自覚を持って、それこそ日本代表だから頑張ってほしいね。その自覚は絶対に持っていないとダメ。うわーうれしい話、頑張ってね。

ブルペンではエース・岩見投手の投球を打席に入って確認した。

イチロー:(スライダーに)お、お、お、曲がるね。ベストピッチ(決め球)がスライダー?

捕手:はい。

バッターボックスで1球1球じっくりとボールの軌道などを見極めた。