■猪木氏と野崎氏 32年ぶりの再会

あれから32年-
難病「全身性アミロイドーシス」を患い闘病中の猪木氏は、プライベートでの最後の外出となった今年7月11日、都内のホテルで野崎さんと32年ぶりの再会を果たした。
■再会で猪木氏が語ったこと
記者:
猪木さんとはどのような話しをされたのでしょうか?
野崎さん:
もちろん、イラクでの人質解放の思い出話もしましたよ。猪木さんとイラクで一緒に過ごしたのはトータルでも1か月ないぐらいですけど、とにかく密度の濃い時間を共に過ごしました。人質解放に向けたイラク政府との一種の戦いですから、それで成果が出たということで猪木さんも私のことを戦友のように思って頂けていたんじゃないかと思います。人質解放が決まった後、猪木さんはイラク国民議会で演説もしているんですが、猪木さんに指名されて私も通訳を務めさせて頂きました。
他にも、今の日本の置かれている状況について話しました。猪木さんは「この頃、日本は平和ボケしている、もうちょっとしっかりしないといけない」というような話しもされていました。例えば、ある政党は「日本は専守防衛だから攻撃するような武器を持ってはいけない」と言うけれど、猪木さんは「馬鹿言いなさい、攻撃のない防御なんてあり得ないんだから、攻撃こそ最大の防御なんです。絶対に攻撃しないと分かったら、守りになりませんよ」と、そういう話しをしていました。
記者:
野崎さんは猪木さんをどのような人だと思っていますか?
野崎さん:
自分なりの信念をお持ちだし、やっぱり人に対する愛情や思いやりを強く持っている方ですね。それから物事をやり抜こうとする情熱、気迫がある。こういうものを持った人たちが国のリーダーの中からどんどん出てきてくれることを望みます。
■「生きる」 猪木氏から野崎氏への“最期のメッセージ”

記者:
猪木さんから最後、メッセージを頂いたそうですが・・・
野崎さん:
はい。もう力が入らないということで、ボールペンではなく筆で一編の詩を書いてくれました。猪木さんは「一生懸命書いたものなので、持って帰って下さい」って言ってくれました。
-猪木氏が野崎氏に伝えた詩-
「生きる」
花が咲こうと咲くまいと
生きていることが花なんだ
今、いくつもの年を重ね
川の岸辺に目をやると
きれいな大きな大きな
花が咲いている
今日も一日いくぞ
一、ニ、三、ダー
79才アントニオ猪木
猪木氏は後日、面会の様子を自身のツイッターにあげ「イラク人質解放の一番の功労者だった 野崎さんと 30年ぶりの再会ができました」と喜びを語っている。
「燃える闘魂」アントニオ猪木。波乱に満ちながらも光り輝くその人生は、永遠に私達の心に刻まれることになるだろう。
「TBSテレビ 報道の日2022」
番組プロデューサー・中島哲平