「収まるどころか火が燃えさかる」積極財政でさらなる物価高の懸念も

家計簿を60年以上付けているという上田和子さん(91)。上田さんの4年前の家計簿をもとに、今回、同じ店で同じ商品を買ってもらい、物価がどのくらい上がったかを見てみると...

上田和子さん
「にんじんも40円上がった。グラニュー糖も高い。牛乳も毎日飲むのにこんなに高い」

4年前に7000円ちょっとで買えた品物が、今回は1万円を超えていたのです。

21日に発表された統計によれば、生鮮食品を除いた食料品の場合、この1年だけで7.2%も上昇しています。物価高対策として、金券や給付金をもらったとしても焼け石に水ともいえる状況に、上田さんは...

上田さん
「値上がりしたからお金を配るとすると、すぐ国債(発行)とかになっちゃうでしょ。お金が世の中に増えると、お金の値打ち(円の価値)が下がるんですよ。それが今の現象(物価高)だと思う。給付金は対症療法にはなるかもしれないが、(根本的な)経済政策にはならない」

実際、積極財政を掲げる高市政権になって以降、円安が進むだけでなく、日本国債の価格も下落。長期金利が17年半ぶりの高い水準となっているのです。専門家は、積極財政による財政悪化の懸念が高まれば、さらなる円安と物価高を招きかねないと指摘します。

第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミスト
「物価高対策といいながら、物価高を止めるような対策はほとんどない。円安という火元を止めないので、本質的な解決に繋がらない。物価高はこれで収まるどころか火が燃えさかるような形でインフレ加速になりかねない」

高市総理は、国債の発行額は昨年度を下回る見込みだとして、財政規律に配慮する姿勢も見せたうえで...

高市総理
「日本がいま行うべきことは、行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させることではなく、積極財政により国力を強くすることです」

こだわりを見せる「国力」の強化。物価高と円安が進む中で、難しいかじ取りを迫られます。