地場産業の復興へ向けた新たな一歩です。石川県立輪島漆芸技術研修所で21日、卒業式が行われ、16人の研修生が志を新たに職人の道を歩み始めます。
午前8時過ぎ、研修生たちが暮らしてきたトレーラーハウスを出発するのは、青森県出身の木村正風さん(24)です。

普通研修課程きゅう漆科3年1 木村正風さん「最初は色々、不安なことだったりどうなるんだろうなと思ってましたが、充分過ぎるくらい準備していただいたのでそこは何の支障もなく勉強に集中させていただきました」
輪島漆芸技術研修所も地震と豪雨により大きな被害を受け、およそ10か月間休講を余儀なくされました。
迎えた卒業式。16人の研修生の先頭を歩く木村さんですが、式には、青森から両親も訪れ息子の晴れ姿を見守ります。

人間国宝でもある小森邦博所長が、式辞でこの1年間の歩みを振り返りました。
小森邦博所長「過去に例のない変則的な年度区分から生じる季節のずれは如何ともしがたく、研修生はもちろんのこと、指導する講師の先生方も温度、湿度の調整には相当苦しめられたと思います」
木村さんの父・正人さんもまた、この研修所で学んだ卒業生の一人です。
父・木村正人さん「培った身に付けさせていただいた基礎技術を一層、自分で技を磨いて、こっちに少しでも恩返し出来るような人になってほしいです」
木村正風さん「すごい寂しい気持ちはありますし、忘れずにというか、輪島で勉強したことを青森でも頑張っていけたらなと思います」

地震と豪雨を乗り越えた漆芸家の卵たちは、漆への情熱を胸に学び舎を後にしました。卒業後は地元、青森に戻り津軽塗職人の道を歩む木村さん、輪島の人たちの感謝を忘れずにこれからも頑張っていきたいと話します。














