知事提出議案98%以上が「原案可決」 “分断下”で進む斎藤県政

 こうした混乱の中、兵庫県政が“着々と進んでいる”と捉えられる数字があります。

 再選以降、斎藤知事が提出した197議案のうち、194議案が「原案のとおり可決」。この中には、知事の目玉政策「県立大の授業料無償化」なども含まれていて、政策は前に進んでいると言えるでしょう。

 一方、兵庫県議からは以下のような意見も聞かれました。
 ▼「知事の議案は可決続く。議会が知事に対して“及び腰”ともとれる」
 ▼「知事は一連の問題にちゃんと対応してから政策の議論をするべき」

 つまり、現在の兵庫は「県政は進んでいるが知事と議会が“分断”されている」という状態にあるのです。

 有権者に取材をすると、「一連の問題について、しっかりと説明してほしい」「(文書問題では)結局伝わってくるのは知事の同じ言葉ばかり」などの声がある反面、「子育て支援」など政策面を評価する声も多く、この2つの思いを同時に抱えている人が多いという印象です。

 立岩陽一郎氏は「民主主義の制度を維持しながら物事を進める、というところに立ち返らないと、短期的には進んだように見えても長期的には禍根を残すことがある」と指摘しました。

 依然として混乱・分断が続きながらも、斎藤県政は前に進んでいるようです。兵庫県政のゆくえがどうなっていくのか、今後も注視していく必要がありそうです。