安倍元総理を銃撃し殺害した罪に問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判で、19日、山上徹也被告の妹への証人尋問が行われ、妹は「母親が私に連絡してくるのは、私が家を出てからは金の無心をする時だけだった」「私に関心がないくせに、偉そうに払えと言ってきて腹が立った」「母を変えた統一教会のせいだ」と涙ながらに述べました。

 山上徹也被告は3年前、奈良市で安倍晋三元総理を手製のパイプ銃で撃ち殺害した罪などに問われています。山上被告は起訴内容を認め、母親が旧統一教会に多額の献金をしていたことをめぐる恨みが事件の動機とされています。

 19日の裁判では、18日に続いて山上被告の妹が弁護側の証人として出廷し、「母親が私に連絡してくるのは、私が家を出てからは金の無心をする時だけだった」「私に関心がないくせに、偉そうに払えと行ってきて腹が立った」「母を変えた統一教会のせいだ」などと語りました。

 また、「発生当時、おじから「犯人は山上徹也だ」と連絡があり、「本当に驚いた」と述べ、「犯人は兄だと思いましたか?」と問われると「間違いなく兄だろうと思った。

 兄は特定の団体に恨みがあると。それが統一教会だと確信した」と話しました。

 さらに、「徹也さんが事件を起こしたけれども、事件を起こさなかったりする方法はありましたか?」と問われると「私たちは統一教会によって家庭が破綻した被害者だった。相談する窓口も探したが、脱会した人が献金を取り戻そうとかという窓口はあったが、親が入信した子どもの相談口は見つけられなかった」「母親は自分の意思で献金をしていて、口出しすることは到底できなかった。合法的な方法ではどうすることもできなかった」と述べました。

 18日の裁判で、山上被告の妹は、母親は妹が小学1年生のころに旧統一教会に入信し、自宅に「教祖の写真を飾って祭壇や壺を置き、ろうそくの明かりでお祈りをしていてとても不気味だった」などと、母親が信仰を深めていく様子を子どもながらに不審がっていたことなどについて証言しました。

 また「母は統一教会と病気の長男のことで頭がいっぱいでした」「毎日嫌なことばかりで不安の中で生きていて、児童養護施設に行けばよかった」などと述べ、母親が旧統一教会に入信したあと家庭環境が悪化したと証言しました。