こだわりは「牛の食事」から 佐世保の山あいから世界へ

長崎県佐世保市の山あいにある「さとむら牧場」。早朝5時半に搾る新鮮な生乳から、愛情たっぷりのチーズを作っています。

チーズ工房「Fiore(フィオーレ)」は牧場を営む里村さん夫婦が9年前に立ち上げた工房です。牛乳本来の風味を残した工房のチーズは、佐世保市のふるさと納税返礼品にも選ばれ人気を集めています。

里村睦弓さん(50):
「さとむら牧場のチーズを知っていただくようになって、『美味しい!』と言っていただける言葉が増えてきた」

乳牛はストレスフリーの放し飼い チーズ作りはすべて手作業

牧場の乳牛60頭は放し飼い方式で育てられています。
エサは自分たちで育てた牧草。里村貴司さん、睦弓さん夫婦のこだわりです。

牛にとって心地よい環境で搾った生乳は、他にない自然な味わいでそのおいしさがチーズの味につながっています。

里村貴司さん(47):
「牛の管理からチーズ作りが始まっているという思いで取り組んでいます」
里村睦弓さん:
「牛からおいしい牛乳をいただいて、おいしい牛乳をチーズっていう形にして、おいしさを伝えられたらなと思っています」

その日の生乳の状態を確認するところから、チーズ作りは始まります。乳酸菌で発酵させたのち、酵素を入れて時間を置くとー…生乳のなかのタンパク質が、豆腐のように固まった『カード(凝乳)』ができあがります。

里村睦弓さん:
「カットするとホエイとカードが分離して、カードからホエイという水分を出していきます」

液体の状態から1割の量にまで生乳のうまみを凝縮。これにお湯を加え、空気と水分を含ませてチーズの弾力を生み出します。すべてが手作業です。

里村貴司さん:
「熱を加えると伸びる。このタイミングを逃したらまたできないけど、一番いいタイミングで」

2人は海外や県外の工房をめぐり、温度管理や形を整える力加減などを学んできました。

里村睦弓さん:
「『作り方はお湯の中で練って伸ばす』ってしか書いてないからその行間をどうやって自分たちが理解していくか」
里村貴司さん:
「練りだすタイミングも、その時に応じて少し変えています」