防犯カメラがとらえた、暗闇を歩く1頭のクマ。11日未明、札幌の円山動物園で撮影されました。

中央区の円山西町10丁目付近では11日朝、散歩をしていた住民が足跡を発見。

住民
「怖いですね」
「早く冬眠してと思う」

円山動物園や北海道神宮の周辺ではここ数日、クマの出没や目撃が相次いでいます。

青山凌太郎記者
「北海道神宮でのクマの出没を受け、円山公園は11日から2週間、全面閉鎖となりました」

人里への出没が相次ぐクマ。市民の生活に、大きな影響を及ぼしています。

そんな中、切り札として浮上しているのが…。

石原宏高 環境大臣
ガバメントハンターなどの捕獲者の確保など…」

高市早苗 総理
「いわゆるガバメントハンターの確保などを進めていくことを想定しております」

「ガバメントハンター」とは、狩猟免許などを持ち、専門知識のある自治体職員のことです。

北海道東部の羅臼町。ここで30年ほど前から、ガバメントハンターとして働く男性がいます。

産業創生課の田澤道広さん(66)です。

普段は有害鳥獣対策や自然保護を担当。狩猟免許を持っていて、クマに関する通報があれば、出動します。

羅臼町産業創生課 田澤道広さん
「クマを駆除しなければいけないという状況になると、ハンターに頼んで撃ってもらう。ただ、みんな本業があるので、必ず来れるとは限らない。自分で銃を持って、追い払い含め対応できればそれに越したことはない」

2025年に入って羅臼町で駆除されたクマは23頭。2024年の約6倍で、半分ほどを田澤さんが駆除しました。

羅臼町の湊屋稔町長は、市町村の判断によって発砲を可能にする「緊急銃猟」を運用するうえでも、田澤さんの存在は貴重だといいます。

羅臼町・湊屋稔町長
「町長の責任で判断をしなければいけない時に、専門的な知識を持った人がそばにいて、コミュニケーションを取りながら対応ができる。有効で対応も早い」

一方、ガバメントハンターを2011年に導入した長野県・小諸市。

農林課の職員で、2023年から鳥獣対策にあたる櫻井優祐さんです。

小諸市農林課・櫻井優祐さん
「ハンター目線で(ハンターと)仕事の相談ができる。対応の迅速性や(対策の)専門性が高まる」

こちらは、2024年に市内の施設に現れたクマの成獣です。
生ごみを一時保管する倉庫でその味を覚えたとみられ、連日姿をみせていました。

捕獲のため、倉庫の横にわなを設置しましたが、入りません。

小諸市農林課・櫻井優祐さん
「檻よりクマの方が大きいという印象。ハンターとその場で相談をして『檻を大きくしたらどうか』と。その日のうちに大きい檻に変えて、翌朝、見事に捕獲にいたった」

通常、檻の交換には2日ほどかかるといいますが、許可を出す立場の櫻井さんが現場で猟師と相談できたことで、迅速な捕獲につなげられたということです。

羅臼町の田澤さんは、クマの被害が全国的に拡大する中、自治体が「ガバメントハンター」を配置できるよう国の支援が重要だと指摘します。

羅臼町産業創生課・田澤道広さん
「ここまでクマの被害がひどいと、国や道のシステムで、各市町村がガバメントハンターを置きやすくしたり、警察が駆除できるようにしたりと、国民の安全・安心・生命を守るためのシステムが必要」