なぜ金融危機は世界規模に?

しかしサブプライムローンというアメリカ国内の問題が、なぜ世界規模の危機に発展したのか。その要因こそが「証券化」です。

具体的には、ローンを貸し出した金融機関は、リスクの高いサブプライムローン債権を証券会社に売却。証券会社はこの債権を細分化して証券にし、他の金融商品と組み合わせて販売

債権を細分化して…
金融商品の“福袋”にサブプライム証券も入れて販売

この福袋のような金融商品は高利回りであり、さらに信用格付けも高かったため、世界中のヘッジファンドや投資銀行がこぞって購入し、爆発的に売れました。

結果として、リスクが世界中に分散したことで、サブプライムローンの焦げつきの影響は広範囲に拡大。投資家たちに「自分が購入した福袋のような金融商品の中に、サブプライム証券が含まれているのではないか?」という疑念が広がり、それが金融不安へと繋がっていきました。

金融危機の始まり

こうしてアメリカ市場の株価暴落が世界の株式市場にも波及して世界同時株安を引き起こしました。これが「サブプライムショック」と呼ばれ、世界的な金融危機の引き金になったとされています。

2007年(平成19年)8月、日経平均株価はこの年の最安値を更新しました。

リーマン・ブラザーズ 立て直しの失敗

大手保険会社「AIG」、投資銀行3位「メリルリンチ」などもサブプライム住宅ローンの焦げ付き問題が取りざたされる中、「リーマン・ブラザーズ」もサブプライムローン関連証券を大量に保有していたため経営が傾きます。

2008年6月に、上場以来初めての赤字に転落する見通しを発表し、その年の9月11日には決算が4000億円を超える赤字になるという見通しを明らかにしました。
業績不振に陥ったリーマン・ブラザーズの株価は一気に下落します。

短期間で大幅下落

会社売却に向け複数の金融機関との交渉もされましたが、アメリカ政府は大統領選挙を前に国民の反発を恐れて、公的資金の投入を拒否。この結果、引受先として有力視されていた大手銀行「バンク・オブ・アメリカ」は一転して買収相手をメリルリンチに切り替え、リーマン・ブラザーズの自力再建の道は閉ざされました。

BANKRUPTCY=破産

救済交渉が不調に終わり、2008年(平成20年)9月14日にリーマン・ブラザーズは破産法の適用を申請すると発表。負債総額は約6,000億ドル(約64兆円)とアメリカ史上最大級の規模で倒産しました。この日は「流血の日曜日」と呼ばれるほどに世界に衝撃が走りました。