5期20年にわたり南三陸町の町長を務めてきた佐藤仁氏がきょうで任期を終え、町長として最後の1日を迎えました。退任式では東日本大震災からの復興を目指す町の未来に期待を寄せ庁舎に別れを告げました。

「おはようございます」
「きょうが最後なのでしっかり頑張ります」

南三陸町の佐藤仁町長は11月5日、5期20年務めてきた町長としての任期の最終日を迎えました。町長室で過ごしてきた日々もきょうが最後。片づけに追われていました。

佐藤仁・町長:「仕事が当たり前、日常だった。仕事しているのが。休むのは非日常だった」

東日本大震災で関連死も含め620人が死亡、211人が行方不明となった南三陸町。町民からは復興に向け指揮をとってきた佐藤町長の退任を惜しむ声が聞かれました。

町民の女性:
「寂しい。いままでずっとお世話になってきたし。お墓参りに行くと仁さんにも「あら、町長さん元気?」って、私ら簡単に町長さんに言うくらいだから」

町民の男性:
「いい町長だったと思う。津波後の復興。一生懸命やってもらった」

町民の男性:
「当時はまさか震災が来ると思わなかったから。彼がとれた(当選した)ことが結果的には良かったんじゃないかな」

午後に行われた退任式では集まった職員約80人に対し、復興に向け町が受けた多くの支援に対する感謝を忘れずこれからも歩み続けてほしいとエールを送りました。

佐藤仁・町長:
「南三陸町の街づくりを進めて1期半進めたところであの東日本大震災でした。本当に痛恨の極みでした。…多くの仲間を失いました。残念至極です。大変な思いをした職員の皆さんはあの災害を知らない職員にその思いをぜひ伝えてもらいたい。これは私からの遺言と受け取ってもらって結構です」

職員:
「誰でも大事にする。私は4月から一緒だったがたくさん声をかけてもらって。とても素敵な町長です」

職員:
「熱い思いで動く姿、町民もそうだと思うが、私たち職員もその姿にどれほど支えられたかなと」

大きな拍手とともに送り出された佐藤町長。慣れ親しんだ庁舎に別れを告げました。

町長を退任した佐藤仁さんは今後、全国を回り語り部として震災の教訓を伝える活動をするということです。南三陸町では、11月6日から町の前総務課長で10月21日に無投票で当選した千葉啓(ちば・ひらく)新町長による町政が始まります。