新たな刑罰「拘禁刑」の導入で変わる刑務所。これまでの「徹底的な管理」から、受刑者との「対話の場」を作ろうとする取り組みがあります。その現場から見えてきた変化とは?
5回目の出所「このままではだめだと思って」「もうやるしかない」
運送会社社長・長原和宣さん。北海道の月形刑務所で1人の男性を待っていた。

ドリームジャパン北海道 長原和宣社長
「シャバだよ、ここ」
重田和彦さん
「戻りました。8年ぶりです」
重田和彦さん(51)。10代の頃から詐欺などの罪で服役を繰り返し、人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた。
2024年の暮れ。私たちは、月形刑務所の中で、長原社長の採用面接に臨む重田さんを取材していた。

「このままではだめだと思って。確かに20年は中(刑務所)にいましたけども、まだ50歳なので」
長原社長
「内定します。覚悟を決めて来てほしい」

重田さん(51)
「もう次がないので、やるしかないです」
長原社長
「刑務所は卒業しましょう」
重田さん(51)
「はい、恥ずかしいので」
長原社長
「人生100年、半分刑務所にお世話になってしまったので、残りの半分はシャバで輝く人生」
刑務所を出るのは、これが5回目だ。

重田さん(51)
「最初は21歳。寸借詐欺で『バイクが盗まれた』と嘘を言って。『警察署までの金を貸してくれ、タクシーで行くから』と。それで1人につき3万~5万だまし取って」
「必ず返すから金を貸してくれ」。面識のない人を何人もだました。
神奈川の出身だが両親はすでに亡く、唯一の肉親である妹とも連絡が取れない。
長原社長
「中(刑務所)に入っているとき、外に出たらやりたいと思っていたことは?」
重田さん(51)
「そういうのはなかったかもしれない。仕事がしたくて」
受刑者の55%は再び刑務所に戻ってきてしまう。刑務所で重田さんは、刑務作業を淡々とこなす毎日で、「罪と向き合う時間は限られていた」と話す。
重田さん(51)
「本当に反省している人は一部だと思います。全部強制なので、主体性がとれなくて反省する時間もない」














