肝いり“外国人政策”の中身は 来年1月にとりまとめ

藤森祥平キャスター:

【“外国人政策”めぐる主な総理の指示】
▼不動産保有の実態把握
▼不法滞在者ゼロプラン推進
▼在留資格審査の厳正な運用
▼オーバーツーリズム対策強化
▼民泊対策
▼外国人犯罪に適切に対応
▼国保料・医療費など運用見直し・適正化

これらを2026年1月をめどに対策の方向性を取りまとめる考えを示しました。

小説家 真山仁さん:
今までの本当はやらなきゃいけないことをやるのは、いいことだと思います。ところが、ものの3か月でできるのかということ、さらに「外国人に配慮している」という言い方をしていますが、問題は外国人がそう思っているかどうか。こんなに急に出てきたら、そうは思わないと思います。

小川彩佳キャスター:
特にどういった項目で、外国人はそう思わないと感じると思いますか。

小説家 真山さん:
1つはイメージ。今まで何事もなかったようなことをしていたのに、急にこれだけ出てきた。外国人に対して、敵視しているのではないかというのが1つ。

それから、この指示のどれか1つを厳格にしてしまうと、外国人が日本に来るのをやめる、投資をやめるといったことになると、それがトリガーになる。千代田区・港区・渋谷区の“タワマン”では外国人が平均19%しかいないといいますが、外国人による投資を不動産にさせないという噂が流れただけで、売り払って海外に投資しようとなると、他の人もやめてしまう。

今、一番困るのは日本の経済は、外国人の投資で回っている。それは株式市場も、不動産も、インバウンドも、これを「過剰」と言い出した。「過剰」は市場が調整する問題です。ところが、政府が介入しようとしている。バブルが弾けた時も同じで、「過剰だ」「異常だ」と政府が介入したらバブルが弾けた。こういう時に政府が介入しただけで、ものすごいひび割れを起こす可能性がある。

だから、こういったことはゆっくり、じわじわ、しかも丁寧にやらなければいけない。だから、正直何を焦っているのか。今回の総理の指示は、すべて焦っている。ひとつず
つ行えばいいのに、なぜこれだけ並べるのかというところが一番心配なところです。

小川キャスター:
一方で、高市総理は外国人政策について「排外主義とは一線を画しつつも、政府として毅然と対応する」と主張しています。

小説家 真山さん:
政府は配慮しているでしょう。ただ発信側と、それを受け取る側の“温度差”。今まで外国人はウェルカムで、インバウンドしてくれて、日本は観光立国になり、例えば東京株式市場も圧倒的に外国人投資家がいる。それに対し、「ありがとう」と言っていた国が、なぜこのような言い方をするのか。風向きが変わったというのは、投資の中ではものすごく大きな変化になる。そこをわかって言っているのか、言わなきゃいけないけど外国人はウェルカムですよ、なんて微妙なことは伝わらないと思う。

小川キャスター:
具体的にこうしたことが、どのような形で示されるのかということですよね。

小説家 真山さん:
おそらく、1月には件数を伝えてきます。それが逆効果になるかもしれないですね。

藤森キャスター:
具体的な中身について、丁寧な議論が必要になりそうです。

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<プロフィール>

真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
近著に政治家のリーダーシップを描いた「アラート」