宮崎県新富町の航空自衛隊新田原基地で、最新鋭ステルス戦闘機F35Bの飛行訓練が、4日、初めて行われました。
訓練では特に騒音への懸念が大きい垂直着陸も予定されていて、地元住民からは不安の声が上がっています。

(垣内沙耶記者)
「午後2時31分です。最新鋭ステルス戦闘機F35Bが新田原基地を離陸しました」

新富町の新田原基地には、最新鋭のステルス戦闘機F35Bが、8月以降、5機配備されています。

4日は午後から初めて飛行訓練が行われ、1機が低い高度で飛んだり、タッチアンドゴーを繰り返したりする様子が確認されました。

九州防衛局によりますと、基地では、4日以降、F35Aの操縦資格を持つパイロットがF35Bへ機種転換するための訓練や、資格を取得したパイロットが技量を維持するための訓練が行われる予定です。

訓練の内容は、短距離離陸やスローランディング、それに、垂直着陸で、このうち、特に騒音が激しいとされる垂直着陸は、1回2~3分程度、昼に3回、夜に2回のあわせて5回実施されます。

1回の訓練は全体で1~2時間ほどで、必要な期間は2日間から6日間だということです。

新田原基地からおよそ3.5キロにある新田地区に住む海老原 司さん(71歳)。
午前8時すぎ、自宅ではいつも耳にしているF15の音が響きました。

(新田原基地周辺の住民 海老原 司 さん)
「(F15は)着陸するときは西都市の上空を旋回して降りていく」

F15の音は地下鉄に相当する80デシベル

(新田原基地周辺の住民 海老原 司 さん)
「これですね、防衛施設庁って、貼ってあるでしょ」

自宅では一部の部屋に防衛省による防音用サッシが設置されていますが、海老原さんが騒音計でサッシがない部屋と音のレベルを比較したところ、ほとんど違いはありませんでした。

また、テレビの音は聞こえないため、字幕を表示して視聴するのが当たり前だといいます。

そんな生活が続く中、始まったF35Bによる訓練。

海老原さんも参加している第2次新田原基地爆音訴訟準備会は、F35Bを含む自衛隊機の差し止めと将来分の損害賠償を求め、来年夏ごろまでに提訴する方針です。

(新田原基地周辺の住民 海老原 司 さん)
「この地で暮らす私達にとっては、更なる激しい爆音被害がこれから先ずっと続くということなんです。そういった点では、私達の思いに寄り添った対応を国にはお願いしたいと思います」

訓練開始について、河野知事は「地元の理解と納得を得られる方策を検討し、地元に寄り添った対応を実施いただきたい」とコメントしています。

また、新富町の小嶋崇嗣町長は「さまざまな問題について、丁寧に誠意をもって対応してもらえるよう、防衛省と調整していく」としています。