今年7月の参議院選挙をめぐって「1票の格差」が最大3倍を超えて実施されたのは憲法に違反するとして、弁護士のグループが選挙の無効を求めた裁判で、東京高裁はさきほど、訴えを退け、「合憲」とする判決を言い渡しました。

今年7月に行われた参議院選挙では、選挙区によって議員1人あたりの有権者数に差がある「1票の格差」が最大で3.13倍となっています。

弁護士の2つのグループは、こうした状況が「投票価値の平等に反し違憲だ」などとして、選挙の無効を求める訴えを全国の高等裁判所などで16件起こしています。

きょう(30日)の判決で、東京高裁は、「違憲状態かどうかを判断するには時期尚早だ」として訴えを退け、「合憲」の判決を言い渡しました。

選挙制度の見直しを議論している国会の協議会が今年6月、「2028年の選挙に向けて結論を出す」という報告書を出していることを踏まえた判断です。

一方、「1票の格差」には「看過しがたい拡大傾向が生じている」として、「結論を更に先延ばしにするようなことがあれば違憲の判断も免れない」と指摘しました。

一連の裁判ではこれまでに、大阪高裁で今月24日に「合憲」の判決が、名古屋高裁金沢支部ではきのう(29日)「違憲状態」とする判決が出ていて、判断が分かれています。

参議院選挙の「1票の格差」をめぐっては、最大で4.77倍だった2013年の選挙について、最高裁は「違憲状態」と判断。その後、「鳥取と島根」「徳島と高知」に「合区」が導入されるなどして、格差が3倍程度に縮小した2016年以降の3回について、最高裁はいずれも「合憲」と判断していますが、前回の判決では、格差の是正を「喫緊の課題」と指摘していました。