1978年、東京都足立区で起きた「足立区女性教諭失踪事件」。この事件が「失踪事件」から「殺人事件」に変わったのは、2004年に加害者が出頭・告白してからでした。社会で「重大犯罪の時効」についての議論が高まるきっかけとなった事件を振り返ります。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)

1978年、突然の失踪で

足立区の小学校教諭だった石川千佳子さん(当時29歳)は、1978年8月15日、当直勤務の予定にもかかわらず学校に姿を見せず、無断欠勤となりました。

行方不明になった石川さんと、彼女が勤めていた区立小学校

これまで誠実に勤務していた石川さんが連絡もなく欠勤したことを不審に思った校長が実家に連絡しましたが、母親も娘の行方を知らず、捜索願が出されました。最後に石川さんを目撃したのは、校内警備員を務めていたAでした。警察も捜査に乗り出しましたが、手がかりは得られず、やがて事件は「家出失踪」として処理されます。

石川さんは北朝鮮の手による拉致の可能性まで取り沙汰されました。

「北朝鮮による拉致の可能性のある人」のリストにも名を連ねました。