「冷凍食品市場」自体は拡大の一途

日本冷凍食品協会によれば、2024年の冷凍食品の消費額は前年比4.4%増の1兆3017億円と過去最高を記録しました。10年前からは32%も増加しており、冷凍食品市場自体は絶好調です。

その中でも特に注目すべきは「大阪王将」の冷凍餃子の躍進です。大阪王将の「羽根つき餃子」シリーズは2015年に27億円だった売上が、わずか10年で183億円にまで成長しました。これは実に6.8倍の伸びです。2023年には業界最大手だった味の素を抜き、冷凍餃子市場のシェア1位に躍り出ました。

この事実は、無人冷凍餃子店が失速した理由を解く重要なカギとなります。

大阪王将が冷凍餃子No.1になった3つの理由

大阪王将の冷凍餃子が市場を席巻した理由は主に3つあります。

1. 圧倒的な価格競争力

大阪王将の冷凍餃子はスーパーの店頭価格で12個入りタレ付きが200円前後です。これを36個分に換算しても約600円と、「餃子の雪松」の1000円(+たれ200円)に比べて半額程度です。しかも、店舗の「元祖焼餃子」(6個で310円から)よりもコスパが良いです。

2. 革新的な調理法

大阪王将は2018年に「油いらず・水いらず・フタいらず」で調理できる独自の羽根形成剤を開発し、特許も取得しました。これは若い男性社員の「独身者は家にフタがない」という何気ない一言から始まった開発だといいます。この利便性の高さが多くの消費者の心をつかみました。

3. ブランド力

「大阪王将」というレストランブランドの知名度と信頼性が、冷凍食品にも大きく貢献しています。消費者は「店舗と同じ味」という安心感を持って購入できます一方、「餃子の雪松」の元となった群馬県みなかみ町の「お食事処 雪松」は、全国的な知名度が低く、「大阪王将」ほどのブランド力を持ち合わせていませんでした。