藤川の野球人生には常に父の存在があった。野球経験者で元ピッチャーだった父・真一さんとは2日に1回キャッチボールを行い、投手の先輩としてアドバイスをもらっていた。しかし小学4年時、真一さんが病気で他界。「ショックだった。一緒に練習する相手というか、野球に対して相談する相手がいなくなったっていうのはデカかったですね」と当時を振り返る。

「(父は)怖いけどかっこいいというか、そんな感じでした」。その喪失感は大きかったが、父の夢が藤川の中で強い支えとなった。「『お前プロ行け』ってずっと言われてました」。その言葉は今も藤川の原動力となっているという。特別な一日は奇しくも藤川の誕生日。「約束守ったよというか、自分をプロに行かせるのはお父さんの夢だったので、それを叶えられたよって言いたいですね」。

藤川は「将来プロで活躍して、メジャーリーグに行って優勝して、日本一のピッチャーと呼ばれるようになりたい」と夢を抱く。支えてくれている家族への感謝も忘れない。母・七恵さんは仕事で忙しい合間を縫って、試合があるときは福岡から宮崎まで応援に駆けつけてくれる。「父が亡くなった後、お母さんが泣いている姿を見たことは何回もあります。それでも気丈に振舞っていた。お母さんにプロになった姿を見せたい」と藤川。亡き父との約束、母への恩返しを胸に吉報を待つ。

■藤川敦也(ふじかわ あつや)
2006年10月23日生まれ。福岡・飯塚市出身。右投右打。身長183cm、体重92㎏。延岡学園では1年秋からベンチ入り。高校2年春の、宮崎県大会で最速153㎞を計測。両親が古田敦也さんのファンということから「敦也」という名前がつけられた。好きな言葉は「継続」。趣味はアニメ鑑賞とサッカー観戦でよく見るアニメは「NARUTO」。小学生時代はサッカーチームに所属しており、イングランドプレミアリーグの強豪チェルシーが好き。