■原子力規制庁のトップ3が元経産官僚に 規制委の独立性は?

原発の安全審査を担うのが、「原子力規制委員会」だ。

福島原発の事故の際、規制部門が原発を推進する立場である経済産業省に置かれていたことが問題になり、2012年、環境省の外局に独立性の高い委員会として設置された。

だが、2022年7月、規制委員会の事務局を担う原子力規制庁のトップ3人が、発足から初めて全員、経済産業省の出身者となった。

現役官僚の佐々木氏は…

現役官僚・佐々木氏
「今の経済産業省と原子力規制庁はまさに車の両輪、一心同体。私は原子力規制庁でも仕事をしたことがありますが、原子力規制庁というのは『原子力の規制をしているフリ庁』じゃないかと」

政府は、原発の運転期間を経産省所管の法律に移すことを検討している。これで運転期間に関する権限を、原発を推進する立場の経産省が持つことになる。規制委員会は、安全審査を担う。

現役官僚・佐々木氏
「原子力規制委員会がこの老朽化した原発は、経済産業省が認めた通りに運転させるのは難しいと思った場合でも、非常に大きなプレッシャーを感じながら決断(審査)をしなければならない」

原子力規制委員会の独立性は保たれているのか。9月に新たに委員長となった元大阪大学副学長の山中伸介氏が番組の取材に応じた。

ーー規制庁のトップ3が元経産官僚で占められているっていうこと自体、すごく国民に疑念が持たれると思うが?

原子力規制委員会 山中伸介 委員長
「委員長になったときに既に人事は決まっておりましたので、適材適所だろうと思います。それぞれ優秀な方なので。たまたま経済産業省のご出身だったということだろうと思います」

規制委員会は、運転期間の延長を見据え30年を超えた原発は最長10年ごとに審査し、認可するという新しい案を公表した。以前よりも厳しい規制だという。

原子力規制委員会 山中伸介 委員長
「政策(運転期間)に対しては何も意見は申さない。政策側から何か言われても安全規制は変化をさせないことが独立性ですので。今、準備しているルールですと、30年から10年ごとに審査をしていくという、その中できちっと安全規制を行っていくということについては変わりはございません」