《2015年に発生した看板落下事故》

 2015年、札幌駅前の飲食店ビルの看板が、15メートルの高さから落下。歩いていた女性に直撃し、女性が重傷を負いました。

現場には、看板を支えていた部品やボルトが散乱。腐食で強度が劣化し、強い風にあおられたことが原因でした。

設置者は、看板を取り付けてから約30年間、目視による点検しか行っていませんでした。

痛ましい事故から10年。札幌市によりますと、2015年度から2024年度までに、市内で発生した屋外看板の落下は21件に上り、人身事故も起きています。原因のほとんどが、部品の劣化によるものです。

15メートルの高さから落ちる看板の衝撃とは…。重さ10キロの看板模型で実験してみました。

実験映像「3、2、1、落下!」

衝撃の最大荷重は1.5トン。看板は粉々に砕け、硬いアルミフレームは大きく変形しました。

金属の腐食に詳しい、北海道科学大学の齋藤繁教授は「腐食は目に見えない部分から始まっている」と指摘します。

北海道科学大学 齋藤繁教授
「(金属を)折り曲げたところ、溶接したところとかボルトした部分というのは金属の性質が変わってしまう。そういうところに傷や小さな穴があると、目で見えないところで腐食が始まる」

また、北海道特有の気象条件も、落下のリスクを高めていると強調します。

北海道科学大学 齋藤繁教授
「雪が残る、解けるということが繰り返される環境は腐食が進む。看板は雪かきしないですよね。看板の雪下ろしもやらないと(腐食の)環境的にまずい」