心臓に潜む“沈黙のリスク” 不整脈と心不全に潜む”見えない負担

眠っている間の無呼吸は、心臓にも深刻な影響を与えます。そのひとつが心房細動と呼ばれる不整脈です。

広島ハートセンター循環器内科医 近藤健人医師
「無呼吸が起きるたびに酸欠状態となり、心臓に強いストレスがかかります。その結果、心房細動という不整脈を引き起こすリスクが高まります」

心房細動は、心臓が小刻みに震えて血液がうまく流れなくなる状態。血液の流れが滞ると血の塊(血栓)ができやすくなり、それが脳に飛ぶと脳梗塞を引き起こす危険があります。心房細動がある人は、脳梗塞のリスクが通常の5倍以上ともいわれています。

近藤医師
「いくら不整脈の治療をしても、無呼吸を治療していないと再発リスクは高くなります。両方を一緒に治療することが大切なんです」

しかし、心臓への負担はそれだけではありません―。
呼吸が止まるたびに酸素が足りなくなり、心臓は全身に血液を送ろうとフル稼働します。これが続くと、ポンプ機能が低下して心不全を引き起こす原因にもなります。

広島ハートセンター循環器内科医中村真幸医師
「心不全があると無呼吸も起きやすくなり、無呼吸があると心不全が悪化する-。この”相互悪化”が怖いんです」

その悪循環を断ち切るには、無呼吸を適切に治療することが大切です。呼吸の状態を整えることで、眠りの質が高まり、心臓への負担も軽くなります。