「自分は大丈夫」ではなく、「一度調べてみよう」

自覚症状がまったくなかった天谷さんの検査結果は、1時間に44.9回の無呼吸。重症と診断されました。しかも、最長で1分も呼吸が止まっていました。「体を休めるはずの時間」が、体にとっては過酷な運動状態になっていたのです。
元プロ野球選手天谷宗一郎さん
「呼吸が止まっている感覚は一切ないです。ショックです」
睡眠時無呼吸症候群は、肥満の人だけがかかる病気ではありません。筋肉質で首まわりが太い人、鼻づまりがある人、顎が小さい人…。誰にでも起こり得ます。
広島ハートセンター循環器内科医中村真幸医師
「天谷さんのように、健康的に見えても睡眠時無呼吸症候群の方は多い。”疲れているだけ”と思い込み、受診が遅れるケースが少なくありません。”自分は大丈夫”と思わず、まずは一度”眠り”を調べてほしいですね」
いまは自宅でできる簡易検査もあり、指先にセンサーをつけるなどして一晩眠るだけで、呼吸の乱れや酸素濃度を測定できます。
中村医師
「朝起きて頭が重い、日中強い眠気がある、いびきが大きい、そうした”サイン”を見逃さないでください。それが、命を守る第一歩です」
眠りの質は、人生の質。そして、「見た目の健康」に隠れた危険を見つけることが、未来の健康を守る最初の鍵になります。
(2回目へ続く)
【特集】「睡眠が壊す健康~眠りの奥に潜む“沈黙の病”」(全5回)
第1回「病は夜につくられる~脳卒中や心不全を招く“見えない病”の正体」
第2回「眠るたびに体が悲鳴をあげる─血圧・心臓・脳に潜む“見えない危険”」
第3回「まさか自分が…」プロ野球解説者が体験 睡眠時無呼吸症候群“重症”の衝撃
第4回「眠りを取り戻す―CPAP治療で変わった生活」
第5回「秋から冬、眠りが浅くなる女性たちへ─見逃されやすい“女性の無呼吸”」














