アナフィラキシーで亡くなる場合も

【画像③】キイロスズメバチ

ーアナフィラキシーになると、どうなるのでしょうか。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「スズメバチに刺された全員がなるわけではありませんが、アナフィラキシーでは、臓器の機能不全、血圧低下、意識の混濁などのかなり重篤な症状が出ます。

スズメバチによる被害は、近年でも日本で年間10~20人くらい継続して毎年死者が出ていますが、これは日本での野生生物由来の死者数としてはトップです。

この死亡事故の多くはアナフィラキシーによるものであるとされます。

たとえば一人でハイキング中に刺されてアナフィラキシーになってしまうとどうなるでしょうか?

個人差はありますが、アナフィラキシーを起こす人は、ハチに刺されてから15分程度で症状が重くなっていくとされます

周りに人がいない状態で、たった15分の間に呼吸障害や意識喪失してしまったら…そういうリスクがあるわけです。

とはいえ、ハチに刺された経験がある人でも全員が重症化するわけではなく、こうなるのは一握りの人です。

だからこそ、『自分は大丈夫』という思い込みで事故にあって亡くなってしまう人がいるのだと思います。

特に一度刺されたことのある人は注意が必要です。医療機関でアレルゲン検査(ハチ特異IgE検査)を受けることで、自身のリスクをかなり正確に把握できます。

リスクがあると診断された人は、アナフィラキシーを抑える薬についてお医者さんと相談してみてください。

必要であれば登山や林業などで知られている応急処置薬として、自己注射型のアドレナリン注射薬「エピペン」を医師に処方してもらい、携帯しておくと安心です。

エピペンは処方薬であり、アナフィラキシー発症の危険性が高い方は保険適用になる場合がありますが、そうでなければ100%自己負担になります。

エピペンは安い薬ではなく、使用期限もありますが、リスクを考えて携帯するかどうかご判断ください。少なくとも、スズメバチに刺された経験のある方は、アレルゲン検査を受けておくのは自らの身を守るための第一歩になりますね」