10月10日午後4時前、永田町は衝撃に包まれた。公明党の斉藤代表が自民党との連立解消を表明したのだ。26年続いた自公の協力関係に終止符が打たれる歴史的な一日となった。

そして、政治史に残るもう一つの出来事が、その裏でおこなわれていた。石破総理による戦後80年の総理所感の発表だ。総理官邸の記者会見室は、外の喧噪とは異なり、静謐な空気に包まれていた。会見の冒頭、石破総理は「所感は国民の皆様方と一緒に考えるためのもの」と呼びかけ、質疑を合わせ約1時間半の会見に臨んだ。石破総理が戦後80年の総理所感に込めた思いとは―

なぜ、あの戦争を避けることが出来なかったのか…「国民の皆様と共に考えたい」

石破総理の所感の発表に当たっては、自民党の保守派を中心に「安倍元総理の70年談話で『歴史認識の問題は決着済みだ』」などとして反対する声もあった。だが、石破総理はこうした声を受け止めながらも記者会見に踏み切った。

会見のはじめには「戦後50年、60年、70年の節目に、内閣総理大臣談話が発出をされており、歴史認識に関する歴代内閣の立場は私も引き継いでおります」と、懸念の声に配慮を見せた。

その上で、「過去3度の談話では、なぜあの戦争を避けることができなかったのかという点について、あまり触れられていない」と指摘し、「当時の日本の国内の政治システムは、なぜ歯止めたりえなかったのか。今回発出した所感は、これまでの談話における残された課題に対する私なりの考えであり、国民の皆様方と一緒に考えるためのものだ」と訴えた。