石破総理が所感発表にこだわった理由

所感の発表に反発する声もある中、石破総理が戦後80年の節目に所感を発表することにこだわったのには、世界で「ポピュリズム」や「排外主義」が広がっていることへの危機感がある。

欧米を中心に今、国際社会では「分断と対立」が顕在化してきている。石破総理は「”対立と分断”や”無責任な言論”の土壌が作られないよう、政治が努力することが必要だと今強く思っている」と強調した。

国内を見てみれば、日本も今、「ポピュリズム」や「排外的」な主張による「分断と対立」の懸念が広がりを見せている。

会見で石破総理は、「今回の所感は、国内の政治状況を念頭に置いたものではなく、人類共通の課題」だと強調したが、戦後80年の所感は、戦争だけでなく、いま日本や世界が直面する諸課題にも通じるメッセージにもなっているように感じられた。

ただ、石破総理の戦後80年の所感は、当時の政治システムに焦点が当てられたこともあり、内容が不十分との声も上がる。

こうした声も踏まえ、石破総理は最後、「歴史に正面から向き合うことなくして、明るい未来が開けることはない」と強調した上で、次のように所感を締めくくった。

「私は、国民の皆様と共に、先の大戦の様々な教訓を踏まえ、二度とあのような惨禍を繰り返すことのないよう、能う限り(=できる限り)の努力をしてまいります」

在職期間は1年余り、まもなく退陣を迎える石破総理だが、その評価は歴史が証明することになるのだろう。

TBSテレビ報道局政治部
官邸キャップ 中島哲平