パレスチナ自治区ガザの和平計画をめぐる「第1段階」での合意について、イスラエル政府が正式に承認しました。イスラム組織ハマスが拘束するすべての人質が解放されることに期待の声があがるなか、それを複雑な気持ちで待つ人もいました。
記者
「テルアビブの広場です。人質解放の決定を受けて大勢の市民が集まり、パフォーマンスが行われるなどお祝いムードです」
9日、アメリカのトランプ大統領によるイスラエルとイスラム組織ハマスの和平計画「第1段階」合意の発表を受け、喜びに沸いたイスラエル中部テルアビブ。
「居ても立ってもいられず、ここに来ました。毎週土曜日ここに来ていますが、きょうは何もかもが違います」
「感動的です。戦争が終わり、人質が戻り、この恐ろしい2年間が終わるという希望の光がようやく見えてきた気がします」
そして、10日には。
イスラエル首相府(10日発表)
「すべての人質の解放に向けた枠組みを承認した」
イスラエル政府は閣議で和平計画の「第1段階」の合意を正式に承認したと発表しました。24時間以内に停戦が発効し、その後、72時間以内にハマスが拘束する人質が解放されるとしています。
ただ、この人質解放には、複雑な思いを抱いている人もいます。ミカエル・イルズさん。おととし10月7日、ハマスによる襲撃の際、音楽イベントに参加していた26歳の息子ガイさんが連れ去られ、人質となりました。
息子が人質となった ミカエル・イルズさん
「息子は拘束中に死にました。彼は連れ去られた時、背中を撃たれていましたが、適切な医薬品が与えられませんでした」
ガイさんはその際に負った傷が原因となり、拘束中にガザで死亡しました。
今回、ハマスは生存する人質およそ20人のほか、死亡した人質の遺体を返還することでも合意。ガイさんの遺体も近く引き渡される見通しです。
息子が人質となった ミカエル・イルズさん
「20人が生きて帰ってくる姿を見られるのはとても嬉しいです。一方で、私はとても悲しいのです。息子と別れなければならない。彼の遺体を確認しなければなりません。二度とキスをすることも、さよならを言うこともできません」
歓喜の声が響く広場で、深い悲しみと向き合うイルズさん。2年間にわたり失われた多くの命を思いながら、平和への願いを語りました。
息子が人質となった ミカエル・イルズさん
「イスラエル人でもパレスチナ人でも、若い兵士、若い市民が死に続けるのはもう十分です。私たちは未来を築かなくてはなりません。すべての政府、パレスチナの人々、そして中東全体とイスラエル。特にイスラエルが破壊するのではなく、未来を築くために賢明な判断ができるようになることを願っています」
注目の記事
「あの日までのお母さんも死んだ」“たった15分の横着”が奪った夫と日常 1枚800kgの鉄板落下事故 被害者家族が訴え「被害者にも加害者にもさせないために」


乳房再建は “形” でなく “生き方” 取り戻す治療…富山大学で進む乳房再建の最前線

祖母を殺された小学4年生は今・・・「事件が私の人生を変えた」 山口県連続殺人放火事件から12年 被害者遺族が事件を振り返る

ドリフト?公園を暴走し荒らしたのは白のRV車 今も公園は痛々しいまま…一時の快楽で逮捕された男の行為 泥には証拠となるタイヤの痕 町は損害賠償請求も視野(山形・山辺町)

19歳で書店をオープンさせた大学生 置いてあるのはほぼ“学習参考書” 開店費用は300万円 給料ナシ 夜は塾の先生に

毒をもつ美しいチョウ「アサギマダラ」は「鬼滅の刃」のあのキャラクターそっくり?
