「松本さんが事故に遭いました。詳しいことは警察に電話をして聞いてください」
その一報を受け、松本さんは会社を早退。長男と長女を連れて向かった広島県竹原市の病院で待っていたのは、変わり果てた康志さんの姿でした。
松本里奈さん
「いつも通りに出かけた主人が、顔は腫れ上がり、顔色は青紫色、全身ガラスまみれ、血まみれ、傷まみれでストレッチャーに寝かされていました。大量の出血の痕もありました。このときの光景は本当に今でもはっきり覚えています」
「一緒に過ごしたときに笑った顔とか、怒った顔とか、私にしか見せない顔とか、いろんな姿を見てきたけれど、この日、このときの姿がやはり一番鮮明に頭に浮かんできます」
いつも通りの景色から康志さんだけが消える。そんな状態の中、無情にも月日は流れていきます。
松本里奈さん
「毎朝、目が覚めるたびに『夢じゃなかったんだな』と思って。また起きて『夢じゃなかったんだな』って。それをずっと繰り返すような1日を過ごしていました」
「どうして彼がこの事故に遭って死ななくてはならなかったのか。お骨になった主人を見ては日々絶望を味わう。そういう日々を繰り返しました」