「自分が社長になれば会社は良くなる」と信じ社長に立候補

―――社長に立候補されたそうですが、その10年ほど前、関連会社の役員をされていた時に起きた創業家の「お家騒動」が1つのきっかけだったのですか?
 56歳の時です。格好悪いでしょ?立候補なんですよ。これからという時に色々あって、悔しさもあって。「いい会社だな」ってロッテのことをずっと思っていたのでね。社内には経営陣にどこか遠慮しているところがあって、もっと弾ければもっと世の中のためにできることがあるんじゃないかと思うようになりました。すごいリーダーシップのあるオーナーに引っ張られてきたからこそこれだけ成長できたんですが、組織のしがらみや忖度をなくせば、組織の長所を生かして活性化させて社員たちに自由にやらせれば、もっと伸びしろがあるんじゃないかなと。だから「やらせる立場」に自分がなれば会社が良くなるんじゃないかと思い立候補しました。
―――手を挙げて社長になって、その後、コロナ禍もありましたが手応えは?
 いままでやってこなかったことをやっていかないといけないと思っています。消費者の趣向がどんどん変化しているので、新しいものもやっていく。例えば、アイスのクーリッシュのブランドを使った新商品は、フローズン状態のお酒です。飲むアイスをお酒にしました。ほかには、アイスの「雪見だいふく」の中身を生クリームにした商品を今年9月に関西で限定発売しました。それに加えていま一番感じているのは、お客さまの価値観がサステナブル(持続可能な)だとか平和への思いだとか環境問題というものが主たるものになって、その前までの価値観から大幅に変わってきたと感じています。この時代に「ロッテの役目ってなに?」と考えると「我々はこんなこともできる」とアイデアが出るようになりました。