再建を一度断念した女性、治療に託す思い…

乳がんによって失われた乳房を元の形に戻す「乳房再建」。今、富山ではその最先端の治療が行われています。その最先端の治療を担うのが、砺波市出身で乳房再建のスペシャリスト、佐武利彦医師です。

横浜の病院で2000人以上の再建手術を手がけ「地元・富山に貢献したい」と5年前に富山大学附属病院へ移りました。

佐武医師が執刀した再建手術は、胸の喪失感に悩む多くの女性たちを救ってきました。

富山大学附属病院 形成再建外科・美容外科
佐武利彦 医師
「再建はしなくても普通にこれまでと同じような生活はできる。一方で、乳房に対する思いが強い患者さんもとても多い。(胸を失う)喪失感はすごく強いので、再建手術はただ形を作るだけではなく、その後の生き方を変えるぐらいのパワーを持った治療だと思います。治療を受けたことによってマイナスの部分をプラスに持っていける」

世界初の手術法をいくつも生み出してきた佐武医師のもとには全国から多くの患者が訪れます。

愛知県の女性は乳房摘出後、愛知県の病院で再建手術を行う予定でしたが、皮膚の裏側にできた傷跡が硬く人工物を入れることができないと言われ、一時は再建を断念しました。

30代女性
「再建できずに手術が終わってしまって精神的にも落ち込んで、そんな時に名古屋の先生が、人工物ではなくて自家組織だったら再建できるとおっしゃっていただきました」

乳房再建には2つの方法があります。

切除した胸にシリコンなどの人工物を入れる「インプラント法」と自分の腹部や臀部などから皮膚や脂肪を移植したり脂肪に含まれる幹細胞を再生医療の技術で培養し、注入したりする「自家組織法」。

女性は、臀部から乳房を再建できる数少ない医師の一人、佐武医師にその手術を託しました。