◆《いま元夫の影に怯えることも…DV被害者を支援》

咲さんは、ネグレクトの家庭で育ち、親にも頼れませんでした。たとえ相談しても、自業自得と言われるのではないかと考えたと話します。

そうした中、半信半疑で頼った民間の支援団体で、思いもよらぬ言葉をかけられました。

咲さん(仮名・30代)
「(気持ちの上では)臨戦態勢で支援団体の事務所に入ったんですけれど、第一声、言われたのは『よく来たね、長いことがんばったね』だったんですよね。この人たちに頼ってもいいかもしれないって…」

咲さんがシェルターに居たのは、生活を整えるまでの1か月間です。この間に、離婚の申し立て、生活保護の申請、子どもの転校、新居探しなど、その度にさまざまな窓口に足を運び、手続きが必要でした。

咲さんは、被害経験を糧(かて)にDV被害にあった女性の支援者として、現在活動しています。

咲さん(仮名・30代)
「家も友達も住み慣れた地域も、すべて手放さなければいけないのは被害者。夫が乗っていたような車を見つけると、走って逃げたくなる衝動に駆られて…。結局は許されて、今まで通りの生活に戻っていく人があまりに多すぎる。この現実に腹が立つ」