■談合どこまで? 唯一、家宅捜索を受けなかった“ガチンコ”企業

「テスト大会」の業務を受注した企業は全部で9社。特捜部などは3日間にわたって、このうち電通・博報堂など計8社を家宅捜索した。唯一、捜索の対象にならなかったのが広告会社「大広」(大阪市)だ。大広は、セーリングの会場となった「江ノ島ヨットハーバー」(神奈川県藤沢市)のテスト大会業務を約400万円で受注していたが、実はこの入札はいわゆる“ガチンコ”だったとみられている。関係者によると、もともと電通が受注するはずだったが、入札では、大広が電通より大幅に安い金額を入れて落札したという。大広が受注調整を知りながら参加せずに回避したのか、あるいは談合の枠からそもそも外れていたのか。実態解明を進める上で、この点も焦点のひとつとなりそうだ。
■テスト大会だけにとどまらない・・・数百億円の本大会経費にも疑問点
テスト大会の計画立案業務(合計5億円超)を受注した企業は、そのまま本大会の会場運営も、随意契約の形で委託されている。つまりテスト大会の業務を分け合うことは、そのまま本大会の業務を分け合うことにつながっていた。本大会は会場運営経費だけで160億円超に上ったが、運営経費については、これまでもたびたび批判の対象になってきた。特に人件費については国会でもやり玉に挙げられた。ある会場では、本大会に向けた準備業務を行う「ディレクター」の単価が、実に1日当たり35万円だったとして「高額すぎる」と野党議員から指摘を受けた。
本大会の運営経費に不透明な点はないのか。ある受注企業の幹部は「組織委員会から再三コストカットを求められた。割高という事実はない」と主張するが、そもそも談合で受注業者の調整が行われていたとすればどうだろう。競争原理が働かないまま、巨額の公金が投入されたのであれば、被害者は国民全員だと言える。
(TBSテレビ・司法記者クラブ 佐藤浩太郎 米田祐輔 長谷川美波)